近くて遠い Daiki.A

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『リフォームを担当させていただきます、梶本と申します。こっちは同行させていただきます、有岡です』



有岡「有岡です。よろしくお願いします。」



田中「田中です。こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。」



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訳あり、と言われていた田中様は、

いくつも物件を持っていると言っていたから、もっと年配の方を想像していたのだけど、



年齢は30代後半。

ビジネススーツをキレイに着こなした、物腰も柔らかく、とても感じのいい方だった。




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『ではまず、フローリングと壁は張り替えでよろしいですよね』



田中「そうですね。あと、天井が低いので、できれば電気を埋め込みにしてもらいたいんですが」



『そうですね。その方が圧迫感は少なくなると思います。』



田中「収納をもう少し増やすことはできますか？」



『でしたら、ここの和室を少し小上がりにして‥』




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リフォームの相談も、特に問題なく順調に進み、
正直、ついてきてもらった有岡には申し訳なかったと思うくらい、何も困ることはなかった。




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『では、次回は実際に図面に起こしたものと、3D画像でイメージを作っておきますので、事務所の方へお越しください』



田中「わかりました。では、よろしくお願いいたします」





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田中様を見送り、
窓を閉め、電気や他の装置が作動していないことを確認して、鍵を閉める。




『いい人だったね』



有岡「まあな」




やっぱり、その口説かれたという女性営業が、
あの人のタイプだったんだ。


年齢的にも、素敵な女性がいたら、そんな風に考えたって不思議はない。




『もう、ついてこなくて大丈夫だよ。』





そのときは、

本当にそう思っていた。





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