鳳凰と兄妹の盃と別れの話 ページ33
「お前は…何を言い出すかと思えば…」
「あははは面白ェなルフィは！！！」
『さっすがお兄ちゃん』
ルフィの夢を聞いた私達の反応はそれぞれで、エースは呆れているが私はとても好きだと思った。
場所は変わって森の中、大きな切り株を囲む形で私たちは立っていた。
エースはダダンさんから盗んできた酒瓶を開けて、小さな四つの器に注いでいく。
「お前ら知ってるか？盃を交わすと"兄妹"になれるんだ」
私達は契りの言葉を聞き終わってから乾杯をし、お酒を飲んだ。
「これでおれ達は 今日から兄妹だ！！」
□ ■ □ ■
そこからの私達兄妹は何をするにも一緒だった。もちろん、ダダンさんの罰の期間はちゃんと家に居たけれど。
初めて訪れたゴア王国でチンピラと戦ったり、一緒にお風呂に入ったり、橋から落ちたルフィを三人で助けたり、狩りをしたり。何ともない日々が鮮やかに色づいていって楽しかった。
そんなある日、爺ちゃんが来た。三人とは離れたくなかったけれど、言ったんだから覚悟しなくちゃ。
『爺ちゃん！私を海軍に入隊させて！』
薙ぎ倒されていく兄妹を横目に爺ちゃんにお願いした。こんな小さな子供でも、英雄たる爺ちゃんが推薦すれば入れるだろうという期待だった。
爺ちゃんは目を張って驚いた後、すぐに私に抱きついて泣き始めた。
「嬉しいぞわしゃあ〜〜！！！」
『苦しい苦しい苦しい』
力強い抱擁に顔を青くした。祖父と兄は加減を知らないのか。
爺ちゃんは嬉しさのあまり、今から私を本部に連れて行くと言い出した。手続きとかはもう良いらしい。でも、と心配すると、最悪元帥をぶっ飛ばすとか言い出したので潔く了承した。
「な、なんで今なんだよ」
『だって、早く入った方が良いと思ったから。戦いのプロから学べるんだよ？』
「でも…！」
『お願い、行かせて。ね？』
エースとルフィを宥める。サボはただ悲しそうに黙っているだけだった。夜に私達は別れの挨拶をした。一人一人に抱きついて感謝を伝える。
ルフィの大粒の涙を拭い、私は———「大将！報告に来ました！」
『ぎゃっ！』
突然の声に私は急いでノートを閉じた。
「どうされたので？」
部下は不思議そうに首を捻る。
『いやぁ、ははは恥ずかしいから』
「はぁ」
私は今、過去の事を思い出して小説風にメモをしていた。
若くして海軍大将になった"
椅子から立ち、部下と向き合う。
『さて、報告を受けようか』
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作者名：ぽち | 作成日時：2022年8月12日 23時
