命をも盗む大怪盗 【文スト】

盗み_17 ページ18

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『 殺人が愉しい？

そんなこと一度だって思ったことも考えたこともないですよ


殺人が生み出すのは絶望だけです 』





実際、思ったことを正直に伝えただけで虚言を吐く心算など端からなかった。



＿＿＿私は、殺人をする為に絶望している


人間が死して尚止めどなく流れる血の色さえ、私の目に見せてはくれないのだから



殺人が愉しいとか何処かの精神病質(サイコパス)と一緒にしないで欲しいな





「 ………そうか、」





暫く視線を交わらせていると社長は一言、そう云って私の頭を撫でた。



…………？


………撫でた？？





「 よろしく頼むな、A 」





これでも一応成人済みだけれど

身長も百六十糎(160センチ)超えてますけど





『 ？？ はい、？ 』





子供扱いされたことが、


私は素直に恥ずかしかった





〇 〇 〇





貴方side





「 そう云えば、Aさんも異能力をお持ちなんですの？」





自己紹介も一通り済み、たわいもない話をしているとナオミちゃんが私にそう問うてきた。



異能力者が沢山いるこの社にいるからだろうか、純粋な疑問だろう





『 勿論あるとも 』





私はにっこり笑って愛嬌のあるように接する。





「 僕も知りたいなァ、聞いてもいいですか？ 」





興味深そうに谷崎くんも寄ってきたので私は 勿論いいよ！、と云って自分の持つ異能力について改めて説明をすることとした。





『 僕の異能力 " 一寸の夢 " は転移系の異能で、自分の視界範囲内にあるものと自分の場所を交換することができるんだ 』





そう、あの時＿＿＿


ポートマフィアに捕まりそうになった時に私は異能で美術館の外に転がっていた空き缶と場所を交換した。


勿論、人間との交換も可能だ





「 へぇー、じャあ戦闘時には大活躍ですね 」





「 まさに夢のような異能力ですわ！」





羨ましそうに私の異能を褒め讃える谷崎くんとナオミちゃんに私は少し苦笑した。





『 其れがね、そこまで便利な異能じゃないんだ 』





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