命をも盗む大怪盗 【文スト】

プロローグ ページ1

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貴方side



この世には真っ当な職に就き、世の為人の為に自分の時間と労働を費やす者も居れば、


光の届かない真っ暗な職に就き、自らの利益の為に自分の時間と力を費やす者が居る。



では、私は何方であろうか＿＿＿、



《 昨夜、ヨコハマ宝石美術館より展示されていた宝石が盗まれました。犯人は＿＿＿ 》



つけっ放しの受像機(テレビ)から朝一番の報道が静かな部屋に響き渡る。

報道から察するに其れは明らかに " 悪 " によって生み出されたモノで。



私と云う者がこのヨコハマの正義か悪か、


そんなもの自分からすれば愚問であった。





云うまでもなく、私は " 悪 " の人間だ





何故なら私は＿＿＿＿＿ 、





《 宝石を盗んだ犯人は今尚警察が逮捕すべく全力を挙げて捜査に取り組んでいる… 》





＿＿＿大怪盗だからである。





〇 〇 〇





《 今回盗まれた宝石も日本最高峰の物であり、また " 今回も " 大怪盗はその宝石を盗むことに成功した模様です 》





砂糖を少々(角砂糖を三つ)入れた珈琲を片手に私は僅かに開いた窓から朝の澄んだ空気を吸い込む。





『 うん、今日の放送員(アナウンサー)も美人で美声だ 』





清々しい朝にぴったりだね



なんて思い乍、私は昨夜拝借した(盗んだ)宝石を洋卓(テーブル)に転がす。


其れはカラコロと何歩か卓上を歩き、止まった。

遮光布(カーテン)から覗く朝日に照らされ鈍く光り輝いたのが分かる。



然し乍ら私、小豆沢(あずさわ)A と云う人間には＿＿＿





＿＿＿其れが魅せる " 色 " と云うものが分からなかった。





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