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怒り＿＿＿地震は、立っていられない程のものだった。このホテルも所々からみしみし、と嫌な音を出す。
「危ない！」
直後。鈍い金属音が響いた＿＿＿と、同時に水が大きくうねったのが分かった。
ばしゃん、と大きな音を立てて元に戻る。何があったの、すずめは、あの人は…？
死角で見えない。心配で振り返りたいけど、今ここで扉から手を離したらダメだと本能が叫んだ。
「ここから離れろ！」
あの人が空気を裂くほどの大きな声で訴えた。水の中を歩く音が聞こえた。どんっ、とその人の体が扉にぶつかった…ぶつけたの方が正しいか。
「君も離れるんだ！…ありがとう」
＿＿＿！
蚊の鳴くような声で私にたった一言。
それに首を横に振った。もっと腕に力を込める。
この扉を閉じる。
理由とか無いけど、でも。
＿＿＿誰かが泣いてる声が耳に届いたから。
『一緒に閉じます。……すずめっ、離れて！』
此方に向かって手を伸ばしているすずめを制止した。普段、叫ばない私が怒鳴ったからか、すずめの足が止まる。
「…A、いやだ…」
『お願い。すずめは…私の唯一だから！』
もう何も失いたくは無いの。
扉が閉じる＿＿＿その人が独り言を吐き出すみたいに何かを呟く。途端、違う声も混ざり始めた。
遠くから掠れた声が届いた。
＿＿＿来年も来ようね。
＿＿＿お祖父ちゃん呼んでくる。
＿＿＿まだ飲むの？お父さん…
そして、もう一つ。私の内側に届いた声……
"ごめんなさい"
"もう嫌だから"
"貴女の手で"
"私を"
"元に戻して"
無意識に体が動く。締まりかけの扉に体を捩じ込んだ。
「おい、君！何して……」
内側から扉の取っ手を強く引っ張る。がちゃん、と閉じる音を耳にしながら、私は落ちていた＿＿＿。
可笑しい。地中の筈なのにそこには不思議な景色があって、何より今私はふわふわ、と宙を漂っていた。
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すずや - るいさん» 見つけてくださりありがとうございます✨ (2月24日 22時) (
レス) @page24 id: 80d2653d1f (このIDを非表示/違反報告)
るい - 今日すずめの戸締まり見てきて、小説を見たくなったところでこの小説を見つけました!すごく面白いので頑張ってください! (2023年1月9日 16時) (レス) @page26 id: 2b427804a3 (このIDを非表示/違反報告)
すずな - まーぼーどーふさん» ありがとうございます✨ すずめの戸締まり本当に良いですよね〜 (2022年12月29日 21時) (レス) id: 80d2653d1f (このIDを非表示/違反報告)
すずな - キモオタクさん» これから少し落ちてしまうかも知れないので、今出来るだけ書いちゃってます！ (2022年12月29日 21時) (レス) id: 80d2653d1f (このIDを非表示/違反報告)
まーぼーどーふ - すずめの戸締まりの世界に入れて幸せ！神更新！ (2022年12月29日 21時) (レス) @page17 id: dd43b0d406 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すずな | 作成日時：2022年12月19日 1時
