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御心に上さまの涙
突如として現れたミミズ。千果とすずめをあの場に置いて先に来てしまったのは正しい選択では無い。それは十も承知だ。
でも、今は……自分の心の声に従うと決めたから。自転車を乗り捨てて、椅子を抱えて走る。
空に立ち昇るミミズは、既に金色の光を少し帯びてきていた。大分近くまで来たのだと思う。
『ほん、とうにっ……あれ、落ちるのっ』
「ミミズは空に広がりながら
草太さんの言葉に大きく息を吸い込んだ。……同じだ。私も、そう思ってた。
走るのに夢中で、ふと前を見れば大きな看板があった。すこし色褪せたカラーコーンが所狭しと並んでいて道を通せんぼしている。
目を凝らす。すると、そこには、
《土砂災害のため全面通行止め》
の文字が残されていた。
ぐっ、と思い切り踏ん張ってそれを飛び越える。
下はコンクリートを覆う泥がぬかるんでいて、足を引っ張られた感覚に陥る。
めげずに、泥を振り払うようにして走る。
「Aさん、君はここまででいい！」
『え、わっ、あぁ！』
またコンクリートの道が顔を覗かせると、草太さんは突然腕から飛び出して、一目散に駆けた。
あっという間に遠ざかっていく。
「これ以上は危険なんだ！すずめさんとあの子のところへ戻って！」
『……それは、できませんっ！』
瓦礫の山に消えていった不安定な椅子。もとい、草太さんの言葉を無視して、私はスニーカーの靴紐をきゅ、ときつく結んだ。
これは草太さんの為じゃない。
私がやらなきゃいけない事がある。
その正体をもう少しで思い出せそうなのだ。
＿＿＿それに。
『すずめには、
それは無意識のうちに自分の深いところから出てきた。違和感なく、噛み締めるようにして呟く。
それは、つまり。コーヒーの湯気みたいな雰囲気で、琥珀等のようなあの輝きを秘めている、涙のように果てしないもの。
"いつ"のことか、"どういう"悲しみなのかは、今の私には分からなかった。
首にかかっていた紐を外し、私は踏み出した。
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すずや - るいさん» 見つけてくださりありがとうございます✨ (2月24日 22時) (
レス) @page24 id: 80d2653d1f (このIDを非表示/違反報告)
るい - 今日すずめの戸締まり見てきて、小説を見たくなったところでこの小説を見つけました!すごく面白いので頑張ってください! (2023年1月9日 16時) (レス) @page26 id: 2b427804a3 (このIDを非表示/違反報告)
すずな - まーぼーどーふさん» ありがとうございます✨ すずめの戸締まり本当に良いですよね〜 (2022年12月29日 21時) (レス) id: 80d2653d1f (このIDを非表示/違反報告)
すずな - キモオタクさん» これから少し落ちてしまうかも知れないので、今出来るだけ書いちゃってます！ (2022年12月29日 21時) (レス) id: 80d2653d1f (このIDを非表示/違反報告)
まーぼーどーふ - すずめの戸締まりの世界に入れて幸せ！神更新！ (2022年12月29日 21時) (レス) @page17 id: dd43b0d406 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すずな | 作成日時：2022年12月19日 1時
