二日目 ページ21
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囁きに耳を傾けて
沈む感覚が途切れて、ばっと目を開く。私がいたのは紛れも無い、船の上だった。
空は少しずつ、でも確実に明けて来ていた。肩を寄り添わせていたすずめを頭をぶつけない様にそっと寝かせてあげた。私は音も無く立ち上がって船の柵に寄りかかる。
水面がきらきら、と光りを放つ。おいで、と声が聞こえるみたいに波は楽しげに引き寄せて、返して。
この綺麗な海の下でさえ、光の届かない暗い場所があると考えると急に怖くなった。
ふと、自身の首に重みを感じて手を回す。
＿＿＿しゃらん
首には紐がかかっていて、その先には夢でみたあの鍵が付けられていた。
『……不思議なこともあるんだね』
「……A、？」
『あ、すずめ。おはよう』
「うん、早いね起きるの」
私の独り言をですずめを起こしてしまったようだ。すずめはこちらに歩いて来て、同じ様に柵に寄りかかった。
『……もうすぐ着くね』
「うん。……どきどき、する」
船の先には、沢山のクレーンがひしめく港があった。潮の匂いを運ぶ風に紛れて、人の匂いが私の鼻をくすぐってくる。
寝ていた場所まで戻り、椅子を持ち上げる。が、反応が無かった。心配になったけど、昨日の夜と変わらない温かい体温が伝わってきて、息を吐いた。
「Aー！日の出、太陽が来るよっ」
『……わあ、凄いね！』
椅子を持ったまま、すずめの隣に並ぶ。丁度、太陽が顔を覗かせて水面がオレンジ系の色で埋め尽くされていた。
この世のものとは思えない神々しさで。
何だか、今までとは違う世界に来てしまったような感じがした。新しい世界、新しい土地が私たちを歓迎しているみたいだなぁ、と思いに耽る。
椅子に猫に友達に。全てが新鮮で、これから何かとんでもない事に巻き込まれる(もう既に色々あったけど)……そんな予感がした。
＿＿＿「はやく」
脳内であの猫が言った言葉を繰り返す。その中で一つ感じたことをすずめに言いかけた。
「ごめん、聞こえなかった。何？」
『……いや、私も少しわくわくしてるっ』
……あの猫は私たちから逃げてるんじゃ無くて、私たちを呼んでいるんじゃないかな。
ぎゅ、と鍵を握りしめた。
＿＿＿待ってて、今行くから
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すずや - るいさん» 見つけてくださりありがとうございます✨ (2月24日 22時) (
レス) @page24 id: 80d2653d1f (このIDを非表示/違反報告)
るい - 今日すずめの戸締まり見てきて、小説を見たくなったところでこの小説を見つけました!すごく面白いので頑張ってください! (2023年1月9日 16時) (レス) @page26 id: 2b427804a3 (このIDを非表示/違反報告)
すずな - まーぼーどーふさん» ありがとうございます✨ すずめの戸締まり本当に良いですよね〜 (2022年12月29日 21時) (レス) id: 80d2653d1f (このIDを非表示/違反報告)
すずな - キモオタクさん» これから少し落ちてしまうかも知れないので、今出来るだけ書いちゃってます！ (2022年12月29日 21時) (レス) id: 80d2653d1f (このIDを非表示/違反報告)
まーぼーどーふ - すずめの戸締まりの世界に入れて幸せ！神更新！ (2022年12月29日 21時) (レス) @page17 id: dd43b0d406 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すずな | 作成日時：2022年12月19日 1時
