How are you?Professor？｛wr.wr.d}{em}{短編集｝ (ページ3)

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魔主役　揺れる尻尾ページ3

『エミさん』
「なんでしょう」
『……またバトラの事？』
「ええ……まぁ…というかAさん重たいです」
『まぁまぁまぁ…』

家系魔術で出したのか宙に浮いている本を世話しなくパラパラと捲っている同級生によりかかりつつつまらなさそうに左右に動く尾を目で追っていく。
彼のバトラの団長は3年生でも有名なグルッペンで…、彼の言いつけで色々と世話しなく働いているのを見ると大変そうだなぁと思った。

『エミさん、今日一緒に帰ろうや』
「バトラが終わった後に合流出来たらそうしましょうね」

ぼんやりと放った言葉をゆらりとかわされつつ自身の細い尾を改めて持った後、彼のズボンの辺りを見る。

『なぁ、エミさんて尾ない種族なん？』
「え？……って重い重い…」

ぴたりと彼の手が止まるのが見え、これは構って貰えるチャンスだと思いさらに彼の方に体重をかけてみると段々と真っすぐだった彼の背が曲がっていく感覚がして思わず笑ってしまった。

『へへへ…、まあ言いたくないなら別に言わんでも良いんやけどな』
「いえ別に尾はありますし、こちらの方が叡智を司る悪魔として相応しい恰好だと思いましてね」
『……』
「なんです、言いたい事があるのならどうぞ言ってください」
『べっつにぃ』

不満げに頬を膨らませる彼の頬を突きつつ色々と考える。
出さない理由が英知を司る悪魔らしくて良いとは一体何なのだろうと思ったがふと一年のアズモデウスを思い浮かべる。そういえば彼も尾を出していないな。
…つまりは彼みたいに紳士らしくという事だろうか。

『あ、じゃあじゃあ、エミさんの尾見せてよ』
「……見せたらのしかかってくるのをやめていただけますか？」
『んーんふふ、止めるからさ』

今日は、が以前につくがそれに気づかない彼は良かったと言いズボンを少し引っ張って平均より短い尾を出しこちらに向けてくる。
可愛い尻尾で思わず両手で掴み触る、思っていたよりも骨がしっかりと中に通っていて固くも柔らかくもない、骨が通っていない自身の尾と触り比べるとその差は歴然だった。

「あのっ、もうええやろ！」
『あっ』

触り過ぎたのか彼はそう言うと自身の尾を引っ張り私の手の中から取り上げる。
勿体ない、と思いつつももう一度もたれかかりつつ彼の顔を見た。
その顔はまるで魔林檎のように真っ赤だった。

「もたれかからないって言ってたやろ…」
『悪魔を信じすぎちゃだめでしょ』
「なんでぇ…」

悲痛な声が小さく響いた。