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失礼 ページ28

今、僕の目の前で何が起きたか理解するのにそう時間は掛からなかった。

否、違う。

僕の目の前に横たわるAちゃんと、そのお腹から出る血が無理矢理僕の脳に理解させたのだ。

「ぁあ……あ……あ……」

なんとも情けない声が出る。

如何して彼女は敵である僕を庇った?
敵である僕を助けた?

そんな疑問が次々と脳内を駆け巡る

でも、今はそんな事よりも!


「Aちゃん!Aちゃん!」

応えてくれ。そう思いながら必死で名を呼ぶが苦しそうに彼女は口を動かすだけだった。

「う……っぐ……」という声と共に。

彼女の血で僕のシャツが赤く染まっていく。
無論、僕の手にもぬるりとした赤い血がベッタリと付いていた。

此の儘では彼女は死んでしまう。

何か、何か手は無いか!

そう記憶を巡らせる

忘れかけていた記憶を無理矢理思い出そうとすることで頭が痛くなるがそんな事、彼女の重症に比べればどうってことなかった。

『───与謝野先生の治療の賜物です』

与謝野先生の異能力は……確か……『凡ゆる外傷を治癒させる』

「与謝野先生!!そうだ、与謝野先生の元へ運べば!」

彼女は助かる。

そこからは速かった。

彼女に負担の少ないよう姫抱きにし、あまり揺らさないように足を虎化させて全力で走る。

そして、探偵社のドアを勢いよく開け、「与謝野先生いませんか!?」と叫ぶ

「どうしたんだい?敦くん。」

欠伸をしながらそう問う太宰さんは此方を見た途端顔付きを変え、与謝野先生を連れてきてくれた。
事情を説明すると

「ポートマフィアの幹部をねェ……」

と云いながらも引き受けてくれた。



膝を抱え、治療室の前で赤く腫れた目を隠すようにして蹲っている僕に太宰さんはこう声を掛けた

「何があったんだい?」

と。

僕は話した。先刻の出来事を。

「……そうかい。それは辛かったね」

「如何して彼女は……僕なんかを……」

僕なんか死んだって良かったのに。そう云うと太宰さんは少し間を置いてこう云った

「それは彼女に失礼じゃないかい?」と

「どういう事ですか?」

「恐らく彼女は敦くんを庇ったら自分が死ぬかも知れないと理解していただろう。なにせ、狙撃手はかなりの手練だろうからね。
彼女はそんな状況の中、君を助けたんだ。生きてほしいと願って。それなのに、助けられた当の本人が『死んだって良かったのに』なんて助けた側としてはこれ程悲しいことはないだろう」

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水音寺 刹那(プロフ) - 中也カッコよすぎです!とってもいい作品でした! (2018年2月23日 18時) (レス) id: 6d7b469f38 (このIDを非表示/違反報告)
猫蛇 - 赤雲蒼雲さん» ありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです!更新頑張りますね (2017年5月3日 9時) (レス) id: b82b3b39d6 (このIDを非表示/違反報告)
赤雲蒼雲 - 中也カッコイイです!更新頑張ってください!応援してます! (2017年4月17日 9時) (レス) id: 08e4520087 (このIDを非表示/違反報告)
猫蛇 - 白湯さん» ありがとうございます!いやぁ、もう書いている私もニヤニヤしてしまいまして……←更新頑張りますね! (2017年4月7日 12時) (レス) id: b82b3b39d6 (このIDを非表示/違反報告)
猫蛇 - にろりんさん» ありがとうございます!!わぁぁ、そう言ってもらえて何よりです!!ですよね〜もうほんと中也がかっこよくて……辛い…… (2017年4月7日 12時) (レス) id: b82b3b39d6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:猫蛇☆彡。 | 作成日時:2017年1月8日 0時

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