素敵帽子様の彼女様

殿堂入り記念番外編｢虜囚｣ ページ24

｢いいか！死ぬ気で探せ！手前は監視カメラの映像を確認しろ！それと手前は───｣

ポートマフィアは今、バタバタと、抗争の時相応に騒がしくなっていた。
否、正確には騒がしくなっているのはポートマフィア幹部、中原中也と尾崎紅葉、そして、その指示を受けて働いていた黒蜥蜴と芥川龍之介だった。
理由はポートマフィア幹部、柊Aが敵組織に攫われたからだ。

Aの異能力は不意の攻撃にはめっぽう弱い上、身体を縛られてしまえば使えない為、体術が少し苦手なAは負けたも同然なのだ。

｢クソッ！｣

ダンッ！と其の恋人である中原中也は机を叩く。
Aを守れなかった事に対する自分の怒りがつい拳に出てしまい、机にヒビが入るがそんな事微塵も気にして等いなかった。

｢電波妨害かAのGPSも反応しねェ！｣

もしもの際の為に中也が贈品したお揃いのチョーカーにはGPSが付いているのだが敵が念のためだろうか電波妨害をし、途中でその反応が切れてしまっていた。


｢中也、私らは外へ出て探すぞ！中に籠っていてもAが必ず見つかるとは限らぬ！ここは部下に任せるのじゃ！｣

立て！と中也の背中を叩き、紅葉は足早にポートマフィアのビルを出る。
中也もそれに続いて｢後は頼んだ！手掛かりが掴めたら直ぐに連絡を寄越せ！｣乱暴に、けれども余裕無さそうにそう叫んで外に出る

｢姐さん、GPSの反応はこの辺で途切れた……つーことは……｣

｢この周囲を集中的に探すかのぉ｣


横浜の地図を睨みながら少し話し合い、散る。

｢待ッてろよ……｣

横浜の地を全力で走り、Aを探す。
これ程までに焦っているのは太宰の野郎にワインを隠された時以来だろうと微かに思いながら額の汗を拭き、走る



数時間後、Aを見つけた。


Aの立派なスーツは脱がされ、抵抗した時に破けたのであろうシャツとズボンのみで、手足を縛られ、ヤク漬けにされたらしく苦しそうに｢うぐっ……あ"あ"……｣声を上げ、藻掻くAの姿が目に飛び込んできた

｢手前等……死ぬ覚悟は出来てんだろうなァ！｣

紅葉に連絡すること無く、感情のままに敵を殺していく。
頬や服に穢れた血が付き、更に不快になる。

｢オラァ！！｣

最後の1人に異能を込めた蹴りをいれ、遠くに飛ばす。

はぁはぁと息を切らし、未だ苦しそうに藻掻くAを優しくそっと抱き上げ頬にキスをする。

｢……すまねェ｣

涙とともに弱々しい声が落ちた

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