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「いてて…………」
頭をさすりながら起き上がる。
「まったく、アイツ急すぎるんだよ……」
ぶつぶつと愚痴を言いながら自分が転がり落ちてきた坂の上を見上げた。
しかし、もうそこには自分をここへ転がさせた人物はいない。
大きく溜息を吐き、がっくりと項垂れた。
「あの……」
「おわっ」
突然話しかけられたことにより、情けない声が出る。慌てて声の主を探して振り返った。
「大丈夫?」
風でふわりと揺れる長い黒髪が目に入った。
艶のある髪。雪のような肌に映える紅い形の良い唇。長い睫毛の奥の澄んだ黒い瞳は情けなく倒れ込んだ自分を映していた。パチパチと眼前に光が瞬く。
差し出された手に我に返った。
「あ、ああ! ありがとな!」
「……なら、よかった」
手を借りつつ立ち上がり、笑い掛けると何故か一瞬固まってから微笑み返される。
綺麗な声だが、なんとなくたどたどしい。そこでやっとイタリア圏の人ではない、と気付いた。この街の人ではないな、程度にしか考えていなかったのだ。
東洋の方の人だろう。日本や中国あたりだろうか、韓国もありえる。自分では見分けられないな、と決めつけてそれを考えるのをすぐにやめる。
パタパタと身体に付いた葉や埃を払ってから、改めて彼女の方を向いた。
「はじめまして、雲雀Aです。君は?」
彼女が名乗り、また柔らかく微笑んだ。
「はじめまして。オレはディーノ。よろしくな!」
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だいだい(プロフ) - さにー☆彡さん» こちらこそ!応援しています!頑張りましょうね…! (2018年4月2日 0時) (レス) id: 9141d8589f (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - だいだいさん» それは嬉しいです!!お互い頑張りましょう!応援しています!! (2018年3月29日 7時) (レス) id: ec1d0032bb (このIDを非表示/違反報告)
だいだい(プロフ) - さにー☆彡さん» わわわわわ!!!ありがとうございます!とても嬉しいです!さにーさんの復活作品少し読ませて頂いてます!!好きです(混乱)頑張ります…!! (2018年3月28日 23時) (レス) id: 9141d8589f (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - とっても面白いです! 雲雀さんのお姉さんもの少ないので見つけた的は嬉しかったです! これからも頑張ってください! (2018年3月2日 14時) (レス) id: ec1d0032bb (このIDを非表示/違反報告)
だいだい@テスト.卒業式.コンサート前につき多忙(プロフ) - 水愛さん» わぁぁぁ……!!嬉しいの極みです…!ありがとうございます!頑張ります! (2018年2月26日 16時) (レス) id: 875df42b8c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だいだい | 作成日時:2017年8月13日 14時