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その後、私を引き取って可愛がってくれた、伯母…… 母の姉も、
家族を皆なくしてしまった私を心配してくれた友達も、
「呪われてる」と私を痛めつけた人達も、
1人ずつ、1人ずつ、姿を消していった。
それは、いつも私の目の前で。
まるで、見せつけられているようだった。
私は、ひとりになった
もう見たくなかった。
私の前から次々と散っていく命を
私は1度も救うことができなかった。
私には、母のような強さも、兄のような勇気も、父のような優しさも、
なにも、ないから。
無力な自分が、疎ましくて堪らなかった。
みんなの後を追おうとはしなかった。
逃げるのだけはやめようと思っていた。
それに、『いつか変えられるかもしれない』と思っていた。
……何も、変わらなかった。
何もできない私は、
何もしないようにした。
幸いなことに、遠い親戚に援助してもらえた。
大人になり、自分でお金を稼げるようになったら返す。そのつもりで。
もう就職口の目星はつけてあった。
高校卒業は、本当に、1人で生きていく。
学校の教師には、進学を勧められたけれど
もう、人と関わるのはなるべく止めなくては。
何があっても、ひとりでいられるように。
もう、なにも
失いたくない
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作者名:だいだい | 作成日時:2017年4月25日 0時