【REBORN!】風と距離。 (ページ22)

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標的10 ページ22

「そっか……ツナなら何か知ってんのかと思ったんだけどなー」

「チッ…………野球馬鹿と同意見なのは気に食わねーが、10代目もご存知ないとなると……」

それぞれが腕を頭の後ろ、又は胸の前で組む。表情や言葉からして、2人共何かに悩んでいることは一目瞭然だった。思わず何かあったのかと問う。

「あの女を見てから何つーか……こう、頭にヴェールがかかったというか、変な感じがするんです。既視感、みたいな……」

「オレもそんな感じだぜ。どう言えばいいのかわかんねーけど、何かもやっとするんだよな」

いつも感覚的な山本は兎も角、獄寺君までそのような曖昧な表現をするのは珍しかった。その原因であるという転入生の方をチラと見てみれば、他の女子に囲まれている。質問攻めにでもされているのだろう、困った顔をして頷いたり首を振ったりしていた。

「あ、でもツナが『おかえり』って言った時、なーんか納得したんだよなー! しっくりきたっつーか……『ああ、そうだ。』って思った」

「えっ……?」

「なっ!! てめーは意味分かんねー……くは、ない……か」

いつも通り山本に噛み付こうとする獄寺君だったが、考え直したようで少し落ち着く。

「コイツに同調するのは本っ当に癪なんですが、確かにそんなかんじがしたんです。驚きはしましたが
それが必然だと頭ん中のどこかで分かった、というか……」

2人の言葉は少し理解の難いようなことだったが、自分にも思うところがあった。

「うーん……自分でもなんであんなこと言ったのかよくわかんないんだけどさ……
すごい、『ああ、言わなくちゃ』って思ったんだよね……今、今すぐに言わなくちゃって」

そうだ。あの時、彼女が教室に入ってきて目が合った時。
はやく言わなければいけないという焦燥感に駆られたのだ。
言わなければ、絶対に後悔する。そんな気がしたのだ。