【REBORN!】風と距離。 (ページ17)

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Aside

「ここかぁ…」

とても怪しまれていたが、イケボ風紀委員さんに道を聞き、自宅に辿り着く事ができた。

そこそこ大きなマンション。鍵はリュックに入っていた。

「お、お邪魔します…」

自宅ではあるのだが、覚えていないため、かなり躊躇ってしまう。

複数人住むには少し窮屈かもしれない。しかし1人で住むにはかなり広い部屋だった。

家具や物が少ない。

ベッドや服が1人分しかない。1人暮らしなのだろう。

冷蔵庫にはそれなりに食べ物があった。消費期限が切れたものも無い。暫くは食事の心配はいらないだろう。

家の中を一通り確認し終えたので、明日の準備を始める。

因みに、リュックと一緒に落ちていた紙袋には、制服や教科書などの学校で必要なものが入っていた。

制服をハンガーに掛け、明日必要なものをバックに放り込んでいく。

ふと夕方のことを思い出した。

あの風紀委員さんは、かなり無愛想だったが、それなりに親切な人だった。少し嫌そうな顔はしたが、家への道をちゃんと教えてくれたのだ。

しかし、何故彼の様なただの一生徒があの書類を持っていたのだろう。普通あれは教師が保管するものではないのだろうか…?

これから通う学校がもう不安だ……

……いや、学校のことだけではない。これからの生活が不安しかない。

原因も何も分からないが、私は記憶喪失なのだ。

今日はなんとかなったが、これからはそう上手くいくとは限らない。

家族はどこかにいるのだろうか。家には家族の物も、家族に関するものも、何もなかった。転校書類の保護者欄も空白。保護者が、家族がいないと困ることもこれからきっとある。頼れる大人が近くにいてほしい。

…………何より、寂しい。

こうして色々考えていないと、不安に押し潰されてしまいそうだ。

もう、寝よう。

明日は転入初日だ。もう何だか疲れてしまったし、明日に備えて休もう。朝は少し早めに起きて、シャワーを浴びて、ゆっくり朝食を食べよう。

朝の予定を頭の中で軽く組みながらパジャマに着替え、ベッドに入る。

「…友達、…できる、かな……………………ｯ!」

小さく呟いた刹那、酷い頭痛に襲われた。

「ぅ…………ぅぁ……」

そのまま、意識は遠のいていった。