nueve! ページ10
「ほんま好きやね、愛だの恋だの。この手の話になったらあんたはいつもあいつの肩を持つ。」
「別にあいつが好きってわけじゃないけどね。俺はフランスだから。」
「あんたかて国なら死んだ民を見て何も思わん訳やないやろ?うちはあんたみたいに割り切れん。
死んだ民も、生きてる民も、同じにライヒスラントの地に住うもの。今日の民も明日の民も昨日の民も、千年後や千年前の民やって、同じライヒスラントの民やねん。」
「そりゃそうさ。お前は海に守られて生きていた。やった事のある戦争なんて、まだ馬が戦場にいた頃までだ。
正確にいえば、ナポレオン戦争。」
「…戦争が無意味だとは言わん。やないと死んだ民が報われんやろ。それにより莫大な富や名声を獲得した国がおるのも事実。それこそ、あいつみたいに。
せやけど、必要がないんならやらんほうがええ。」
「当たり前だろ。あんなの、無い世の中が当然になるべきなんだ。」
「別にうちは戦争を知らん訳やない。少なくともあいつよりは知ってる。あんたらとはじめて会うたのはそれこそプロイセンがまだうちよりちっこい頃やった。あの頃も戦争はしてた。海にだって出た。七年戦争だって。」
「ああ、お前が戦争をしなくなったのは俺の可愛いナポレオンの支配のせいだろ。」
「…あんたが悪いとは思うてへんよ。ただ、消えるのが嫌で、死ぬのが嫌で島に篭って中立宣言したら、戦争をせん良さに気がついただけや。」
「神聖ローマを殺したのは実質俺の子だ。イタリアがらあの時大きけりゃ、戦争を知ってりゃ、侵略なんて言葉をしってりゃ俺を殺してただろうよ。」
「せやな。その命に限りがあれどなかれど、人が人を想う気持ちは誰にも止められへん。
うちらは国であると同時に個としての自我を持つ。国としての、ではなく、1人の人間としての、感情をね。
その自我が、本物なのかどうかはわかれへんけどな。」
「どっちでもいいんじゃない?どっちみち、200年も1人の女を想い続けるのは偽物でもそう易々とできるまねじゃない。
……お前はそろそろ知るべきなんだよ。あいつのことを。」
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カレンデュラ - TARAKOさん» ありがとうございます!とても励みになります! (2020年4月15日 11時) (レス) id: 02bbab1095 (このIDを非表示/違反報告)
TARAKO - こんな遅い時間にすみません、、、カレンデュラさんのこの小説にハマりました!これからも更新頑張ってください!!応援しています!! (2020年4月15日 1時) (レス) id: 75c31c63dd (このIDを非表示/違反報告)
カレンデュラ - 桜さん» わざわざありがとうございます!頑張ります! (2020年4月13日 22時) (レス) id: 02bbab1095 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 更新頑張ってください (2020年4月13日 16時) (レス) id: f4e7d9a45e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カレンデュラ | 作成日時:2020年4月12日 23時