私であり、僕でもある大冒険 その2♪ 【ぼくらシリーズ】

-矢場の話- ページ40

矢場は、東京を出るときからずっとUFOの話を喋り続けているので、途中ぜんぜん退屈しなかった。


アメリカでは、アイゼンハワーが大統領のとき、砂漠にUFOが墜落し、空軍が宇宙人を助け出した。


その宇宙人と大統領が会談したと言う話までしてくれた。


歌那谷は車に乗る前に、神尾に貰った飴を口に含みながら、パソコンで常に今現在のAの位置を確認している。


歌那谷)動いてない…。
大丈夫…。


少し安心した顔になる。


相原)それはちょっと……。


相原が首をかしげた。


矢場)それではこれはどうだ？
宇宙人は人間を誘拐して体の構造を調べるんだそうだ。
精神分析してみると、4回もUFOに連れて行かれ、追跡調査されている人もいるらしい。


英治は相原と顔を見合わせた。


歌那谷)それなら、アメリカの先進技術は宇宙人に奪われてしまいますね。
いや、アメリカじゃないか。
お兄ちゃん個人の技術が奪われてしまうのか。


歌那谷は全く本気にしていない。


相原)もしそれが本当なら、安永も宇野も返してくれるわけだね。


矢場)宇宙人は、めったに殺したりはしないようだ。


宇宙人の話をするとき、矢場の目は輝いている。


それだけ見ても、でたらめを言っているのでないことがわかる。


菊地)だけど、おっかない話だな。
安永と宇野とA、どんな風にされちゃうんだろう。


矢場)どんな風にもされない。
元のままさ。
宇宙人に連れて行かれた事も覚えていないはずだ。


相原)ますます意味が分からないなぁ。


矢場)連中は、人類よりはるかに進んだ文明を持っているんだ。


菊地)じゃあ、僕らが隠れていても、見つかっちゃうかも。


矢場)それはなんとも言えない。


相原)見つかったらどうなる？


矢場)連れて行かれるかもしれん。


矢場は真顔で言った。


歌那谷)お兄ちゃんと僕なら何処でもやっていけるとは思うけど。
宇宙はごめんだね。


歌那谷はパソコンから目を上げずに言った。


歌那谷)もう少しで花園…。


菊地)やだよ、俺。


英治は、体が震えそうになった。


矢場)宇宙へ連れて行かれたら、人のやれない経験が出来るんだ。
すばらしいことじゃないか。
これこそ大冒険だ。


相原)そうさ。
そう思えばへっちゃらだ。


相原が言うと、不思議にその気になる。


歌那谷)それって覚えてないんだから意味が無いじゃないですか。


矢場)それを言ってくれるな。


矢場は渋い顔をした。


矢場)レポート出来ればなあ…。


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