私であり、僕でもある大冒険 その2♪ 【ぼくらシリーズ】

-地図- ページ32

貴)んっ…んっ…。((涙目


泣きそうになる。


嘘つき。


そりゃ多少は外に出してくれたけど？


車に連れて行かれる時と、木下のマンションの前に止まった後ドアに着くまでの数分ね！


悲しい事に、逃げられない様にボディーガードが2人ほどいらっしゃった。


何が悲しくて、こんなギチギチに縛られなければならないのか。


英治と徹に助けを求めたい。


切実に。


そう思っていると、瀬川さんとさよさんは話を終えたようだ。


足音が遠ざかっていく。


貴)(もう1回…。)((グッ


足に力をこめたら、その足を抑えられる。


木下)ダメだよ。
いい子にしてなくちゃ。


くっそ、木下の手とか折る気無いから、蹴れない！


こいつ…考えてやがる…。


英治〜、徹〜…。


もうホントこの際誰でも良いから助けて。


あ、酒井とか古屋は無しな？


助けられた後に、何かされそうだから。


貴)(参ったなぁ…。)


いったいどれだけ行動制限されなければならないのか。


でも、そんな木下の事を別に好きでも嫌いでもない僕は、ちょっとおかしいのかもしれない。


−−−−


机の上に関東地方の地図を広げた。


それを相原、英治、谷本、柿沼、佐織、久美子、純子、それに歌那谷が覗き込んでいる。


歌那谷)こんなに大勢で見るために持ってきたんじゃないのに…。((ムス〜ッ


歌那谷は、ご機嫌斜めだ。


きっと、Aがいないからだろう。


菊地)あはは…。


純子)荒川の上流って言うと…。


純子が荒川を指で押さえた。


戸田橋、笹目橋、秋ヶ瀬橋、羽根倉橋、治水橋。


ここまでくると、もう大宮である。


さらに遡ると、高崎線とほぼ並行する。


上尾市、桶川市を通り過ぎると西にカーブして、関越自動車道の花園インターの近くをくぐり寄居に達する。


そこから140号線沿いに南に蛇行すると秩父市である。


谷本)秩父と言っても広いな。
どこだかわかんねぇよ。


谷本は、お手上げと言う格好をした。


歌那谷)全く、お兄ちゃんも何やってるんだか。
今日は全く反応が見えなかった…。
お兄ちゃんが発信機で飛ばした最小限の枠はここ、それから最大限まで飛ばすとここ。
この何処かにお兄ちゃんがいると仮定して、間違いないよ。


久美子)なんで分かるの？


歌那谷)人工衛星少し使ってるから、基本的にどの位置にいるかは分かるんだ。
いつもなら、お兄ちゃんはペンダントとかしていくんだけど、あの日はなくしたくないって置いてっちゃったから…。


＊

次へどうぞ→

-甘いものに弱い-→←-あらら、何の音？-

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す