私であり、僕でもある大冒険 その2♪ 【ぼくらシリーズ】

-教頭の樺島と校長の三宅- ページ22

多分、Aがこの場にいたら｢教頭先生、ものは大切にして下さい｣と言っていただろう。


相原)捜します。


相原は、教頭の顔をしっかりと見て言った。


英治だとこういう場合、つい目をそらしてしまう。


樺島)捜すだと………？


教頭は唇の端を歪めて笑った。


樺島)隠れん坊してるんだろう。
速く出て来いと言えば良いんだ。


三宅)何処に隠れているのかね。
もう行ってくれても良いだろう。


校長が猫なで声を出した。


樺島)悪戯も限度と言うものがある。
限度を超すと、取り返しがつかなくなる。
昨日言った筈だ。


三宅)宇野は、学校に来たくない理由でもあるのかね。
三条はあまり問題が無い様に見受けられるが…。


樺島)まさか、宇野を1人で説得しているのか？！
君達がいつまで経っても説得しないから、彼が1人で家にも帰らず…。
三条は友達思いなんだな…。←


教頭が強い調子で攻めると、校長は柔らかい調子で宥める。


それを交互に繰り返すのだ。


にしても…。


菊地)(あ〜、そう来るかぁ…。)


相原)(こいつら、勝手にAを良い子にしちゃってるよ…。)


こりゃ、Aもストレス溜まる訳だ。


相原)ないと思います。
宇野だって、学校に行きたいはずです。


樺島)君はぬけぬけと言うね。
その分じゃ、将来が空恐ろしいよ。


菊地)教頭先生、僕達は宇野を隠したりなんかしません。
勿論、Aもです。
昨日も皆で宇野を探しに行ったんです。
そうしたら、今度は安永がいなくなっちゃったんです。


英治は相原の様には上手く話せない。


何度かつっかえながら言った。


樺島)何だって、今度は安永か……。
君達も随分手のこんだ事をするもんだな。
発案者は相原か？


相原)いいえ。


樺島)すると、またUFOに連れて行かれたと言いたいのか？


相原)そうは思いたくありませんが、他に理由が見つからないんです。


教頭は乾いた声で笑ったが、目は全然笑っていない。


樺島)もう良い、もう良い。
君らは嘘つきの天才だ。
まぁ、せいぜい大人をからかっているが良い。
しかし、このままで済むと思っていたら大間違いだぞ。
それをよく覚えておけ。


2人を指さす教頭の手は怒りの為か、ブルブル震えている。


相原)僕らはウソは付いていません。


相原は冷静な調子を崩さない。


樺島)良いから帰れ！


教頭が怒鳴った。


2人は放りだされる様に校長室を出た。


教室に戻ると、もう授業は始まっていた。


木下)どうだった？


＊

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