目が覚めたら水の中でした 5【文豪ストレイドッグス】

227話 ページ30

もう厭だ

疲れた



此所まで神経を使ったのは初めて




今直ぐ此の場所から逃げたい



太宰さんが恐〜い


乱歩さんが楽しんでるぅー




もう厭だ





「如何したのA、随分と百面相をしてるけど……」


「其れは十中八九御二人の所為です」





帰りたい


切実に





「で？君は何処から？」


「…………いやぁー、此ればっかりは私も理解不能で頭が痛くなるんですよね〜」


「………詰り、乱歩さんの云っている事が限界だと？」


「はい！」





もう良いや


逃げよう



仮令太宰さんが怪訝な表情を見せようが此れを貫き通そう



うん、そうしよう





暫く静寂が続いたが其れは乱歩さんによって終わった





「おっと、僕はそろそろ名探偵の時間だ」


「あ、そうだったんですか。忙しい所を付き合わせてすみません」


「まぁ半分僕も聞きたかったし、御馳走になったし、其れで良い」


「有難う御座います」




私の頭をわしゃわしゃと犬を撫でるように掻き回してからバイバイと手を振り外に出て行った


これを見て乱歩さんがイケメンと云わない人は居ないだろうな



姿が見えなくなるまで名探偵を目で追いお金を取り出して卓の上に置いて社に戻ろうとした


そしたら






「待ち給え」





腕を太宰さんに掴まれた





「何ですか？此れ以上はもう云う事は有りませんし、先刻雰囲気的にもう終わりになったでしょう？」


「あァそうだね」


「だったら戻りましょう？」


「うん、其の心算だから手を繋いで戻ろう」






警戒した私が莫迦だった


何だ此の可愛い成人男性




腕に掴まれた手を解いて私の手に持っていく


自然と指一本々々が絡み合い俗に云う恋人繋ぎになった





「うふふ、Aだ」





其の行為によって太宰さんは先程とは一変して表情を緩ませていた



私の存在をやっと確認したかの様に






「何を云ってるんですか、私は私ですよ」


「嗚呼、勿論知っている」


「変人……」


「知っているさ」


「自 殺愛好家」


「勿論其れも知っている。唯、Aにまた何かしら遣られそうだから当分遣らないかもね」


「…………………一回だけ探偵社に有る太宰さんの席の引出しの暗証番号を解いて開けました」


「待って、何それ知らない。何してるの」


「鍵を解除した」


「そうだけども！間違いではないけども！！」





じゃあ良いじゃん



別に困る事は無いだろうし





それともアレは見ちゃ駄目なやつだったのかな？

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