初恋【第二章】 (ページ15)

今日:20 hit、昨日:3 hit、合計:50,780 hit

しょうがないページ15

｢…もう、バスケットは続けることはできません｣

ぐるぐると私の下半身に黒い渦が巻く

｢それどころか脊髄にも損傷が見られ、普段の生活もままならないでしょう｣

哀しすぎる言葉にもはや涙も出ない

｢あなたはもう、自分の足では歩けません｣

…運命はいつだって残酷なんだ

こんなの、

歩けないくらいなら

バスケがもう出来ないなら

生きていてもしょうがない

棚からナイフをとりだす

.

もういいんだ、もういい

もういい…

｢翔ちゃん！！｣

…誰の、声？

｢翔ちゃん！！｣

…これは夢？

｢翔ちゃん！！！！｣

.

.

手を握られている感触で目が覚める

ぼんやりとしていた世界が徐々にはっきりとしてくる

｢…翔ちゃん？｣

この声は

｢相葉、くん？｣

自分の足元を見ると私の手を握って椅子に座っている相葉くん

｢魘されてたよ｣

あれ…もしかしてさっきのは夢？

そっか、私、試合中に怪我して…

｢ここは？｣

｢病院だよ｣

｢病院…｣

あのまま病院に運ばれたんだ

…っていうか今更だけど

｢どうして、相葉くんここにいるの？｣

怪我をしていて上体が起こせないから目だけを相葉くんに向ける

｢…それはね、｣

相葉くんは椅子から立ち上がって私の両手をさらに強く包んだ