トガです ページ6
ある休日、裏路地に荼毘さんらしき人を見かけた。
「荼毘さん」と声をかけると、彼が振り返る。
「誰だてめぇ」
「え、荼毘さんが愛してやまない可愛い可愛い十倉Aちゃんこと、私ですが…？」
自分で言っておいて少しバカなのか？と思ったことは黙っておく。
「ふーん…」
荼毘さんは、私の名前を聞くと、興味深そうな様子で私を上から下まで見回した。
何か様子がおかしい。
「……“荼毘さん”？」
「なんだ？」
「今日どうしたの…？」
「あ？」
「いつもはまず襲い掛かってくるから」
「人聞きわりィ事いうんじゃねぇよ」
「いや事実ですよ」
口調も、見た目も、この態度もいつもの荼毘さんだ。
でもおかしい。
個性が発動していない。
「あなた、誰？」
「荼毘さんじゃ、ないですよね…？」
荼毘さんに何かあったのかも、なんて不安がよぎって、思わず口から言葉がこぼれた。
だるそうに歩いてきていた荼毘さんは、私の言葉を聞いた瞬間真顔でピタリと立ち止まる。
なんかヤバイ…？と一歩後ずさったところで、荼毘さんの顔面がどろりと溶け始めた。
「ｷﾞｬｯ？！」
あまりに唐突な事で短い悲鳴をあげる。
だって普通、相手の顔がいきなり溶けたら驚くでしょ、そういう事だよ。
誰に言い訳してるんだろう私。
驚きで足は地面に縫い付けられたまま、百面相していると溶けた荼毘さんの中から可愛らしいお団子の女の子が出てきた。
それも裸で。
「寒くない？！」
「寒いです！」
思わず声を上げると、元気な声で返事が返ってきた、そうだよね、寒いよね。
「あ、じゃあこれ良かったら…」
巻いていたマフラーを女の子に渡すと、女の子は「良いの？やった〜！嬉しいです！」と飛び跳ねて喜んだ。
突然動きがピタリととまるので何かと思っていると、「寒いので服、着ます」と言って近くにあったゴミ箱から袋に入った服を取り出した。
そんなところに服あったんか…この子自由だな。
「あんまり見られると恥ずかしいのです」
「あ、ごめんね？」
「Aちゃんかぁいいから良いですよ」
何故名前を？！と思って出会い頭に名乗った事を思い出し、いそいそを服を着る彼女に声をかけた。
「えーと、お嬢さん、お名前は？」
「ナンパみたいです」
「私も思った」
「トガです！Aちゃん、よろしくねぇ」
「此方こそ…？トガ…ちゃん」
なんだろうこの状況。
＝＝＝＝＝
なんか色々ミスって通知お騒がせしました、すみません。
個性使用時に記号を付けました。
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ナナシ - すっごく面白かったです！読み切ってしまったのが残念に思うくらいです。心地よいドキドキ感が味わえて楽しかったです。絶対また読みます！ (2023年4月4日 2時) (
レス) @page40 id: d5c4f7e5a3 (このIDを非表示/違反報告)
素因数分解(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉明るくクスッと笑えるあなたの作品が大好きで毎日更新を心待ちにしていました。それがなくなると思うと少し寂しいです。凄く面白い作品です。お疲れ様でした🍵 (2023年3月26日 15時) (レス) @page39 id: 2687d60546 (このIDを非表示/違反報告)
はないかだ(プロフ) - タイトル回収！！しかもヒロアカアニメと同じタイミングとか！！！図ってましたか？？ (2023年3月18日 22時) (レス) @page32 id: d9e7127375 (このIDを非表示/違反報告)
春風いちご(プロフ) - トガちゃん可愛いっ！！尊すぎるぅ… (2023年2月26日 15時) (レス) @page22 id: d57e220c95 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - コメント失礼します。先ほどTwitterをフォローさせていただきました。もしよろしければフォロバよろしくお願いします。この作品とても楽しみに読ませていただいてます。頑張ってください！ (2023年2月13日 14時) (レス) @page12 id: fd40c107eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：燈 | 作成日時：2023年1月28日 11時
