BINGO ページ16
荼毘さんに連れられやってきたのは裏路地をさらに進んだ奥にひっそりと建っている屋敷だった。
「え、これ廃墟……」
「行くぞ」
「ぅおっとぁあい？！」
「意味わかんねぇこと言ってんな」
「びっくりして…」
荼毘さんに腕を引っ張られて思わず声が出た。
驚いた時に痛くなくてもアウチ！とか痛い！とか言ってしまうあれだ。
ギィ…と錆びた音がする扉を開けると、奥から何やら楽しそうな声が聞こえた。
荼毘さんと音のする方へ近づいていくと会話をしていることに気づいた。
「あ！私ビンゴです！」
「え、もう？」
「景品が欲しいのです」
「でもここに景品なんて…」
「私、ちうちうしたいなぁ…♡」
「え…？」
トガちゃんと…これ、橘川さんの声だ！そうハッとした私は橘川さんのもとへ走った。
「橘川さん!!!」
「え、Aちゃん…！？」
私に気づいて駆け寄ってくる橘川さんを抱きしめると、橘川さんの奥から呑気な声がした。
「あ、Aちゃんこんにちは〜」
トガちゃんだ。可愛らしく手を振っているので、片手で橘川さんを抱きしめたまま、空いた方の手を振り返した。
橘川さんは私にしがみついている。きっと、怖かったんだろう。
「荼毘さんやっぱり知ってたじゃん」
ムスッとした顔で荼毘さんに言うと、荼毘さんはため息をついた。
「てめぇが昨日逃げたのが悪い」
「……つまり？」
「てめぇが逃げたからお友達がここにいたんだよ」
私のせいかよ。
「橘川さんマジごめんね？よしよし泣かないで、もう帰ろうね〜」
「泣いてないよ……」
そう言いながらも私を抱きしめる手を緩めない橘川さんの頭を撫でて、「じゃ、私たちはこれで、」と抱きしめられたまま帰ろうとすると、荼毘さんに手首をつかまれる。
「お友達はともかく、お前はいったん残らねぇと、またお友達消えちまうぞ？」
「うぐ…っ」
ちらりと橘川さんに目を向け
「……橘川さん、一人で帰れる…？」
「…腰抜けそうで一人じゃ動けない」
「と、いう事なんですけど」
「じゃあ二人とも残るしかねェだろ」
「リーダーさんいないし、明日絶対出直すから、約束する」
流石に巻き込むのは気が引けるので、交渉を試みる。
「ね、いいでしょ“荼毘さん”」
脅し文句として個性を添えながら。
「あ、荼毘さん気を付けてね、いつもみたいにならないように」
「……てめぇまたやりやがったな？」
「てへぺろ」
荼毘さんは私の言葉で個性を使われたと理解して動きをピタリと止めた。面白いな。
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ナナシ - すっごく面白かったです！読み切ってしまったのが残念に思うくらいです。心地よいドキドキ感が味わえて楽しかったです。絶対また読みます！ (2023年4月4日 2時) (
レス) @page40 id: d5c4f7e5a3 (このIDを非表示/違反報告)
素因数分解(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉明るくクスッと笑えるあなたの作品が大好きで毎日更新を心待ちにしていました。それがなくなると思うと少し寂しいです。凄く面白い作品です。お疲れ様でした🍵 (2023年3月26日 15時) (レス) @page39 id: 2687d60546 (このIDを非表示/違反報告)
はないかだ(プロフ) - タイトル回収！！しかもヒロアカアニメと同じタイミングとか！！！図ってましたか？？ (2023年3月18日 22時) (レス) @page32 id: d9e7127375 (このIDを非表示/違反報告)
春風いちご(プロフ) - トガちゃん可愛いっ！！尊すぎるぅ… (2023年2月26日 15時) (レス) @page22 id: d57e220c95 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - コメント失礼します。先ほどTwitterをフォローさせていただきました。もしよろしければフォロバよろしくお願いします。この作品とても楽しみに読ませていただいてます。頑張ってください！ (2023年2月13日 14時) (レス) @page12 id: fd40c107eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：燈 | 作成日時：2023年1月28日 11時
