6話 ページ6
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「…最初は引き取った事、不安だった。
俺は男だし、合理的で女とは気が合わない。
口下手だから一緒にいて楽しくないかもしれない。
ずっと住んでいた土地を急に離れるのは心細いのに、新しい家族だ、なんてストレスでしかないかもしれない。
ヒーローだから他の人よりも、明日も生きている保証なんて低い。
休みなんて殆ど無いし、俺の育てた生徒が立派なヒーローになる事が一番の願いだった。
だから、親戚だってだけで初対面の女の子引き取っても正直どうしていいか分からなかった。
でも、お前が少しずつ心開いてくれて、俺の事名前で呼んでくれて、ちゃんと楽しそうに笑うようになって、引き取って良かったって、あの時、迷わず『俺が育てます』って言って良かったって心の底から思うよ。」
零れ落ちる涙に構わず、川端は相澤に抱き着く。
「ははっ、手の掛かる妹みたいだよ。」
「ふふふ、じゃあ消太さんは優しいお兄ちゃんね。」
「なんか線香花火やってると夏って感じするよね。」
「ちょっと海入ろー!」
「やっべえ、上鳴が飯田巻き込んでずぶ濡れになりました!」
「あれ、相澤先生は?」
「あー分かんないけど川端さん呼んでくるんじゃない?」
「ねえ、あれ、見て!!」
芦戸の声に皆振り向く。
相澤が手を差し出す。
川端はそれに手を乗せ、ホテルから砂浜へと降りる。
足元が照らされた緩やかな階段。
香る南国の花々。
打ち寄せる波の音に、満天の星。
髪とワンピースがふわりと靡く。
自然なエスコートに2人で柔らかく笑いながらゆっくりと浜辺に降りてくる様子が映画のワンシーンのようだ。
「綺麗ね。」
「うん、本当に、綺麗。」
「幸せそう。」
ぽつり、と口から溢れたような言葉。
思わず魅入ってしまうほど目を惹かれる。
浜辺にいた生徒達はふたりがゆっくりと降りて来るのにただ魅入っていた。
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穏やかな夏の夜。
それはまるで嵐の前の静けさ。
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北窓(プロフ) - 麦茶さん» 返信遅くなって申し訳ありません。ありがとうございます!!!! (2021年1月27日 17時) (レス) id: 5a0c901b45 (このIDを非表示/違反報告)
麦茶 - セリフの1つ1つがすっごい心に響きます。頑張って下さい! 応援してます。 (2020年9月6日 10時) (レス) id: ccb520a109 (このIDを非表示/違反報告)
北窓(プロフ) - 有難うございます!楽しんでいただければと思います! (2020年7月10日 9時) (レス) id: 5a0c901b45 (このIDを非表示/違反報告)
もぐもぐ(プロフ) - 2章でも頑張ってください。応援してます! (2020年7月4日 6時) (レス) id: 4b8fca2053 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:北窓 | 作成日時:2020年7月4日 0時