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「もうそろそろ帰らなきゃ」
「送ってく」
「平気。今日は黒霧さんとトガちゃんが迎えに来てくれる」
仕方なしに中原は玄関まで見送る。
「どうした?」
なかなか足を動かさないAの顔を下から覗く中原。
突如押し付けられた紙袋。
「え」
「これ!やっぱり作ったから!!
他の人のもっと可愛いし、上手だし、絶対買ったやつの方が美味しいから要らなかったら捨てて!お邪魔しました!」
回れ右をして部屋から走り出て行くA。
「ちょ、待てって!」
慌てて中原も部屋から飛び出し、Aの腕を掴む。
ふと、Aの耳が赤く染っていることに気付く。
「……嫉妬したの
治くんが中也は綺麗なお姉さんからいっぱいチョコ貰うって
今日家に置いてある貰ったチョコ見たら全部上手なんだもの。」
振り返ったAは羞恥で涙目に。
ぎゅうぅと心臓が痛くなる中原。
Aの手を引き寄せ、肩に頭を乗せる。
「はぁぁぁぁ
オレだって嫉妬したわ
そういう意味じゃねぇの分かってるけどお前太宰のこと好きだし、死柄木とか何なら芥川とだって仲良いんだろ?
……大体お前しか見えねェっての
どんだけ奮闘して振り向かせたと思ってんだ」
「それでも嫉妬しちゃうのは仕方ないでしょ
……好きよ、中也。一丁前に嫉妬するくらいに貴方に惚れ込んでるみたい。」
「あぁもうほんっとそういう所だよ!!俺も大好きだ!
……今日、泊まっていきませんか」
「……うん、泊まらせてください」
絡まる視線。
重なる唇。
強く引かれた手。
ドアが閉まる。
夜はまだ永い。
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北窓(プロフ) - 麦茶さん» 返信遅くなって申し訳ありません。ありがとうございます!!!! (2021年1月27日 17時) (レス) id: 5a0c901b45 (このIDを非表示/違反報告)
麦茶 - セリフの1つ1つがすっごい心に響きます。頑張って下さい! 応援してます。 (2020年9月6日 10時) (レス) id: ccb520a109 (このIDを非表示/違反報告)
北窓(プロフ) - 有難うございます!楽しんでいただければと思います! (2020年7月10日 9時) (レス) id: 5a0c901b45 (このIDを非表示/違反報告)
もぐもぐ(プロフ) - 2章でも頑張ってください。応援してます! (2020年7月4日 6時) (レス) id: 4b8fca2053 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:北窓 | 作成日時:2020年7月4日 0時