5話 ページ6
私と陽は候補者の中で最年少であったが、必死に訓練に耐え抜いた。
2人で支え合って、歯を食いしばって生きて来た。
彼の明るさに、何度も何度も救われた。
2人で時間を見つけてお庭でお花を摘んだ。
花かんむりを作って、寝転がり、日向ぼっこをした。
眠れない時は子守唄を歌いあった。
鹿威しで遊んだ。
屋敷の抜け道を探して、蛍を見に行った。
饅頭を盗み食いした。
雪の中駆け回った。
襖を破った。
落とし穴を作った。
薪でお風呂を熱々にした。
彼はいつでも笑顔を失わなかった。
彼は強くなった。泣かなくなった。
生きる意味が分からなくなっても、彼さえ居ればそれで良かった。
彼といると景色は相変わらず白黒なのに、キラキラして見えた。
彼は私の太陽であった。
.
「ーーー責務を全うしろ。その為だけにお前は、お前達は生まれたんだ。
三ノ宮の為に生まれ、責務を果たし、死に行く。
これ程名誉な事は無いだろう？」
それだけを只言われ続けていた。
途中で死に腐って行く人を何人も見た。
昨日まで友達だった子は任務に失敗し、拷問を受け、死んで行った。
その拷問も私がやった。
身体も心もボロ雑巾のようになりながらも必死に生きてきた。
.
9歳の時、2人はそれぞれ『紅色』、『紅彩』になる為の別々の訓練を受ける為、会えなくなった。
ーーー別れる時。
どんな厳しい訓練でも感情を失わなかった陽は誰よりも真っ直ぐな瞳で綺麗であった。
その瞳で真っ直ぐに私を見てくれるのが好きであった。
笑った時に目尻がたれるのも。
口角がふと緩まるのも。
彼は私に笑顔を見せて言った。
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秋田犬 - 本当にこの作品が大好きです。私は占ツクで最初に読んだのがこの作品でした。1年半ほど経ち偶然この作品を見かけて、本当に素敵な作品だと感じます。自分が引き込まれてしまう作品でした。大好きです！ (1月3日 0時) (
レス) @page48 id: b4989b061f (このIDを非表示/違反報告)
北窓(プロフ) - かわあいさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけると書いてよかったなと思います！ (2021年10月7日 22時) (レス) id: 51268113ac (このIDを非表示/違反報告)
かわあい - 面白かったです！！ありがとうございました、！何回か泣いてしまった… (2021年10月7日 19時) (レス) @page48 id: 173f9610a3 (このIDを非表示/違反報告)
北窓(プロフ) - 有難うございます！応援していただき、心より感謝申し上げます！ (2020年7月26日 18時) (レス) id: 5a0c901b45 (このIDを非表示/違反報告)
sana - 遅くなりましたが、お疲れ様でした〜！ (2020年7月26日 13時) (レス) id: 09fc709cdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：北窓 | 作成日時：2020年4月22日 21時
