4話 ページ5
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その家で1人の『紅色』候補の男の子と知り合った。
彼の名は陽。
誕生日が私よりも少し遅いが、同じ歳の男の子であった。
元々母親の虐待によって無表情になってしまった私とは対照に、表情豊かで心配性、おまけに泣き虫な男の子であった。
私は濃い金色の髪に真紅の瞳であった。
陽は誰よりも薄い、クリーム色に近い金色の髪であったが、瞳は誰よりも深くて濃い真紅であった。
6歳の時、2人は『紅彩』、『紅色』候補に選ばれた。
本家はそれはそれは広い豪邸で、日本庭園がいくつもあった。
今迄の暮らしから一転、ボロボロの裾が擦れ、糸が出ていた薄汚い着物から高級そうな絹の白い着物に。
本家に上がって最初に行われたのは手も首も脚も鎖に繋がれ、日の光が全く当たらない場所で水だけ与えられて薬漬けにされながら過ごす事。
背中には消えない焼印が押し付けられた。
6歳から8歳の3年間、毒付けと拷問訓練から始まり、教養、礼儀作法、暗殺術、戦術論、簡単な医薬学まで叩き込まれた。
1番初めに殺したのは実母とその子供、弟であった。
彼女の悲鳴を是迄忘れた事はないし、これからも忘れる事は無いだろう。
心臓をくりぬいた後、冷たくなって行く彼女の手を一晩中握り続けた。
死んで行く人の消えて行く温もりを、むせかえるような血の匂いを、変化して行く皮膚の様子を、全て覚えている。
彼女の最後の言葉は『生きて、幸せになって』だった。
それが私に言ったのかはたまた弟に言ったのかは分からない。
でも、彼女は最後、泣いていた。
その後は政府のお役人、貴族院議員、大商業者、財閥の御曹司……
凡ゆる人々を殺した。
毒物を識別するために、嗅覚が鋭くなった。
身体に入れても効かなくなった。
元々痛覚が無いに等しかったから、拷問訓練は苦ではなかった。
唯気を失わないようにするだけであった。
断末魔に慣れた。人の怯える顔を見ても、命乞いされても何も感じなくなった。
私は人形と化していった。
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秋田犬 - 本当にこの作品が大好きです。私は占ツクで最初に読んだのがこの作品でした。1年半ほど経ち偶然この作品を見かけて、本当に素敵な作品だと感じます。自分が引き込まれてしまう作品でした。大好きです！ (1月3日 0時) (
レス) @page48 id: b4989b061f (このIDを非表示/違反報告)
北窓(プロフ) - かわあいさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけると書いてよかったなと思います！ (2021年10月7日 22時) (レス) id: 51268113ac (このIDを非表示/違反報告)
かわあい - 面白かったです！！ありがとうございました、！何回か泣いてしまった… (2021年10月7日 19時) (レス) @page48 id: 173f9610a3 (このIDを非表示/違反報告)
北窓(プロフ) - 有難うございます！応援していただき、心より感謝申し上げます！ (2020年7月26日 18時) (レス) id: 5a0c901b45 (このIDを非表示/違反報告)
sana - 遅くなりましたが、お疲れ様でした〜！ (2020年7月26日 13時) (レス) id: 09fc709cdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：北窓 | 作成日時：2020年4月22日 21時
