28話 ページ29
風柱side
鴉が連れて来たところは森の奥。
見たことのない華々が咲き乱れ、鳥が囀り蝶が羽ばたく緑豊かで穏やかな原っぱを突っ切って森を抜け、川を横切り、岩道を登った先。
「此処にあのクソ鬼がいんのかァ？」
周りを見回して見えるのは。
真っ黒な地面に少しずつ根を張っている植物。それに、骨、骨、骨。
歩いても見えるものは変わらない。
御館様の書によると10年前にはまだ郷があったはずだ。
それなりに大きな三ノ宮の郷、詰まり、自分の継子の故郷であるはずだった。。
と、言うことは。
「火事、若しくは焼かれた？」
人体が10年程度でこんなに白骨化するはずがない。
「辺りに人もいねぇし、何で此処にいるってわかったんだァ？」
そんな事を呟きながら歩いていたとき。
ふと、よく嗅ぐ臭いを感じ、その方向へと向かう。
物凄く濃く、吐き気がしてくる。
臭いの元へ行くと、それなりに大きな木に突き刺してある人。
老人と子供。
全員丁度腹の中心部分に枝が貫通して宙に浮いている。
流れてくる血はもう無く、地面は血溜まり。
人によって黄斑が出ていたり、腐ってウジが湧いていたりする。
見ていて悍ましく思いながらも、刀で枝を切り落とし、人々を地面へと下ろす。
「間に合わなくて、悪かったなァ。」
そう言って手を合わせ、その場を後にした。
鬼の汚さに反吐がでる。
特に今回の鬼は異常だ。
大体人を食べる時点で死ねよと思うのに、食べないのに殺すなど言語道断。
さっさとくたばれ。
俺の継子にも手出しやがってさっさと死ね。
早く出てこい。テメェ如きに割く時間なんざねぇんだ。
さっさと頸斬り落とされた地獄にでも落ちてろ。
そんで俺の継子返しやがれ。
2年前、遠くで継子が消えた、何も出来なかったあの時とはもう違うのだ。
此の2年、常に頭の片隅に彼奴の最期の歪んだ笑顔が脳裏に浮かんでいた。
絶対に帰るとかほざきながらも、恐かったのだろう。
もうあんな顔はさせねぇ。
そんな事を思いながら夜を待つ。
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秋田犬 - 本当にこの作品が大好きです。私は占ツクで最初に読んだのがこの作品でした。1年半ほど経ち偶然この作品を見かけて、本当に素敵な作品だと感じます。自分が引き込まれてしまう作品でした。大好きです！ (1月3日 0時) (
レス) @page48 id: b4989b061f (このIDを非表示/違反報告)
北窓(プロフ) - かわあいさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけると書いてよかったなと思います！ (2021年10月7日 22時) (レス) id: 51268113ac (このIDを非表示/違反報告)
かわあい - 面白かったです！！ありがとうございました、！何回か泣いてしまった… (2021年10月7日 19時) (レス) @page48 id: 173f9610a3 (このIDを非表示/違反報告)
北窓(プロフ) - 有難うございます！応援していただき、心より感謝申し上げます！ (2020年7月26日 18時) (レス) id: 5a0c901b45 (このIDを非表示/違反報告)
sana - 遅くなりましたが、お疲れ様でした〜！ (2020年7月26日 13時) (レス) id: 09fc709cdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：北窓 | 作成日時：2020年4月22日 21時
