27話 ページ28
ーーー翌日午前。
休日であるこの日、Aは根津と共に校長室にいた。
「ええ、其れでは、演習場を使わせていただけると言うことで宜しいでしょうか。」
「うん、分かったよ。教師や生徒にも近づかない様知らせておくよ。」
「有難うございます。
被害は抑えたいとは考えておりますが、そんなこと考えられない相手ですのでどうか御了承を。」
「平気さ！」
深々と頭を下げるAといつも通りの根津。
「もう少し話をしたいけど、君にはやる事が沢山あるみたいだし、終わりにしようか。
あ、最期に一杯だけ付き合ってよ。」
ティーカップに注がれた一杯の紅茶。
其れをゆっくりとAは飲んだ。
「この2年、見ず知らずの私を迎え入れて、真摯に相手してくださり、誠に感謝申し上げます。」
「いや、此方こそ君のお陰で相澤君を筆頭に皆無事でいるんだ。
感謝するよ！」
「いえ、とんでも御座いません。
雄英高校皆様に更なる御多幸をお祈り申し上げます。
どうかご自愛くださいませ。」
流れる様な動作で一礼し、Aは踵を返して出て行った。
.
1人になった校長室で根津は先程の会話を思い出していた。
「いえ、私は確信しております。
彼奴は必ずこの場所にくる。」
そう言った彼女の目は強い意志が宿っていた。
何故かと聞けば、只、「勘に御座います。」と言って口角を上げる。
今迄基本的に断言するのを避ける傾向があった彼女の口から出た、未来の話。
本能が言っていた。
此奴は下手に踏み込めば喰い千切られると。
「最後の最後まで、優しい子だね。」
彼女からすれば、根津に直接頼む必要などなかったのだ。
最悪の形、生徒達を人質にでも取って強要すれば良いのだから。
其れでも最後まで、主権を此方に渡し、訴状という行動に出た。
結局の所、彼女はとても優しい人なのだ。
成る可く誰も傷つかない様に、常に行動できる人であったのだ。
「まあ、修理は予め頼んでおこう。」
演習場が更地になる未来が見えながらも、根津は空になったカップを呷った。
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秋田犬 - 本当にこの作品が大好きです。私は占ツクで最初に読んだのがこの作品でした。1年半ほど経ち偶然この作品を見かけて、本当に素敵な作品だと感じます。自分が引き込まれてしまう作品でした。大好きです！ (1月3日 0時) (
レス) @page48 id: b4989b061f (このIDを非表示/違反報告)
北窓(プロフ) - かわあいさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけると書いてよかったなと思います！ (2021年10月7日 22時) (レス) id: 51268113ac (このIDを非表示/違反報告)
かわあい - 面白かったです！！ありがとうございました、！何回か泣いてしまった… (2021年10月7日 19時) (レス) @page48 id: 173f9610a3 (このIDを非表示/違反報告)
北窓(プロフ) - 有難うございます！応援していただき、心より感謝申し上げます！ (2020年7月26日 18時) (レス) id: 5a0c901b45 (このIDを非表示/違反報告)
sana - 遅くなりましたが、お疲れ様でした〜！ (2020年7月26日 13時) (レス) id: 09fc709cdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：北窓 | 作成日時：2020年4月22日 21時
