21話 ページ22
ーーー夕方。
AとA組生徒は病室で話をしていた。
Aの過去を知ってぎこちなかった生徒達も時間が経つといつも通り賑やかで楽しい雰囲気だった。
砂糖が作ってきてくれたスフレの美味しさに舌を巻きながら皆で食べ、談笑をした。
門限があるから、と皆帰っていった。
Aは砂糖から洋食と洋菓子の作り方を教えてもらい、大満足であった。
流石にリカバリーガールの治療後寝たと言っても、まだ体力が完全に回復したわけではない。
況してや、元気一杯の高校生を相手にして、中々疲れていた。
寝台に入り、うとうとと船を漕ぎ出した時、外から気配を感じた。
少しして横に引かれる扉。
入って来たのは先程は居なかった彼。
「いらっしゃい、爆豪君。」
そう言ってAは微笑んだ。
「おー、もう起きて平気なんか。」
そう言いながらどかっと寝台近くの椅子に座り込む。
「ええ、もう怪我は完治したから後は寝て疲労回復に勤めるだけ。
あの時、私のことを引っ張り上げてくれて、手を離さないでくれて有難う。」
「別に感謝される様なことはやってねえ。」
「ははっ、それでも、私が言いたいだけなの。
有難う。」
ふい、と照れたのか爆豪は顔を逸らす。
「ん。……包丁寄越せ。」
ぶっきらぼうに言う姿に笑いながら、Aは爆豪に包丁を渡す。
受け取った彼は持って来た袋から果物を取り出して、皮をむき始める。
「お見舞い品なんて良かったのに。
態々持って来てくれて有難う。
頂戴するね。」
「おー。……ほら、出来たぞ。」
そう言ってAに切った果物を差し出す爆豪。
「無花果、桃、……これは何かしら。」
「西洋梨。」
「！これが。」
西洋梨。別名ラ・フランス。
明治時代に日本に渡って来たが、寒冷地でしか栽培出来なかった為、日本では山形やで栽培していた。
当然大正時代でも希少で高価なものであった。
三ノ宮の郷は山奥深くにあり、外との物流もほとんどないに等しいため、そんな物が入ってくるはずもなく。
当然、Aは西洋梨を見たことがなかったのだ。
桃や無花果の旬はとっくに過ぎているはずだ。
疲労回復に良いと態々買って来てくれたのか。
ふと、果物を買う爆豪を想像してAは笑いをこぼす。
「んだよ。」
「いや、美味しいなって。」
「……そーかよ。」
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秋田犬 - 本当にこの作品が大好きです。私は占ツクで最初に読んだのがこの作品でした。1年半ほど経ち偶然この作品を見かけて、本当に素敵な作品だと感じます。自分が引き込まれてしまう作品でした。大好きです！ (1月3日 0時) (
レス) @page48 id: b4989b061f (このIDを非表示/違反報告)
北窓(プロフ) - かわあいさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけると書いてよかったなと思います！ (2021年10月7日 22時) (レス) id: 51268113ac (このIDを非表示/違反報告)
かわあい - 面白かったです！！ありがとうございました、！何回か泣いてしまった… (2021年10月7日 19時) (レス) @page48 id: 173f9610a3 (このIDを非表示/違反報告)
北窓(プロフ) - 有難うございます！応援していただき、心より感謝申し上げます！ (2020年7月26日 18時) (レス) id: 5a0c901b45 (このIDを非表示/違反報告)
sana - 遅くなりましたが、お疲れ様でした〜！ (2020年7月26日 13時) (レス) id: 09fc709cdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：北窓 | 作成日時：2020年4月22日 21時
