7話 ページ8
ーーー夜。
指定されたバーでターゲットを待つ。
思ったよりも早く連絡が来た。
口実は『学生証を拾った』だろうが、やる事は変わらない。
但し、今日も積極的になってはいけない。
あくまでも1夜の関係だったと思っているように見せるのだ。
やって来たターゲットに昨日よりも度数の高いお酒を飲ませる。
相変わらずAはジュースを飲むが。
「昨日はすみませんでした。
学生証を届けていただき有難うございます。
良い夜を。お休みなさい。」
そう言って踵を返そうとする。
すかさず控え目に掴まれた手首。
ターゲットがAを逃すはずが無い。
「今日はもう遅いので送りますよ。
此処らへんの電車はもう走っていないでしょう？」
「…ありがとうございます…。」
髪を耳にかけて恥ずかしそうにする仕草を忘れない。
心の中で『お前が仕事が忙しいだの言ってわざと遅い時間を指定して来たんだろうが』と、悪態をつく。
タクシーが来たので2人で乗る。
家を聞いて来た彼のスーツの裾を少し引っ張り、顔を斜め下に向ける。
見ず知らずの男に教えるわけないだろう、なんて思いながらも、頰を赤らめ、恐る恐る顔を上げ、震えるか細い声で言う。
目には少し涙を溜め、期待するような眼差しで。
「………あの、…」
それだけ言うとぱっと手を離し、両手を顔の下で握りあわせる。
勿論俯くのも忘れずに。
「…ホテルへ。」
運転手にそう言う。
ターゲットはにやけている口元が隠せていない。
(ーーーそんな顔していたら、馬鹿な女でも分かるじゃない。)
そう思いながら、エスコートに沿ってホテルの部屋へと向かう。
ーーー朝、まだ外が真っ暗な時間。
Aはホテルを出る。
今回入った情報は取締役、秘書、専務など合わせて30人程度の人物が違法取引を行っている事。
覚醒剤、金塊密輸、大麻、武器輸送まで。
酔った彼は行為の合間になんでも話してくれたのだ。
その後も毎日身体を合わせる。
ーーー残る期限は3日。
「明日、一緒にご飯どうだい？
僕より年下の男だけれど、仕事が出来る内の出世株も居るんだ。」
「…私、面白い話は出来ないですけれど、それでも宜しくて？」
「うん、僕もいるから。」
ーーー翌日。
Aは1人の男と出逢う。
この出逢いがA組との関わり方を大幅に変えるとも知らずに。
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りんご - 面白いですね！更新頑張ってください！ (2020年4月22日 13時) (
レス) id: 4d3c7a1e9c (このIDを非表示/違反報告)
北窓(プロフ) - 桜さん» 教えて頂き有難うございます！頑張ります！ (2020年4月21日 23時) (レス) id: 5a0c901b45 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - コメントはログインとかしてなくてもできますよ。コメントした人の最後の方にあるレスってやつを押して、感想の所に文章を打ち込んで投稿を押したらできます。説明が分かりにくかったらすみません...更新頑張ってください！！！ (2020年4月21日 18時) (レス) id: ced64b0a1f (このIDを非表示/違反報告)
卵かけご飯4280 - 面白すぎます。もう神ですね。小説の至高の領域に入ってます。がんばってください (2020年4月21日 8時) (レス) id: 0b8a9b50ed (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - この作品めちゃめちゃ好きです！ハンターハンターっぽいとこもあってそこも個人的に好きです笑笑更新頑張ってください！！ (2020年4月18日 1時) (レス) id: 52068ce325 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：北窓 | 作成日時：2020年4月1日 21時
