31話 ページ32
ーーー最初は只、最近周りで事故が多いな、と思うだけであった。
可笑しい、そう思い始めたのは2人目の子供が車に轢かれそうになるのを助けた時。
人が多い大きな交差点で7歳程度だろうか。
小さな子供が道路に弾き飛ばされたのだ。
母親が叫ぶ。
Aは道路に駆け出した。
脇に少年を抱えながら、上に飛び跳ねる。
(ーーー嗅いだことのある匂い？
まぁ、2年も此方に居るからそれもそうか。)
そんなことを思いながら、そのまま走ってきた車の上を足場にし、反対側の交差点へと飛び移る。
呼吸の身体強化は最近飛躍した。
「下を噛まなかったかい、少年。」
そう言ってゆっくりと男の子を地面に下ろす。
「うん、大丈夫。ありがと、お姉さん。」
そう言って少年は笑った。
母親がこちらに走ってきたのが見える。
「泣かなかったの偉いぞー。
じゃあ、お母さんも来るし、もう平気だね。
これからも気を付けてね。お姉さんは行くね。」
そう言って静かに去ろうとすると、腕を引き止められる。
「お姉さん、昔僕のお姉ちゃん助けてくれたでしょ。
ほら、変な化け物に僕のお姉ちゃん襲われてた時に、助けてくれて、いちごの飴もくれたよね。」
そう言われて記憶を辿るA。
(ーーーそうだ、この匂いは、
「お姉ちゃんが急に居なくなっちゃった！さっきまで一緒だったのに！！」
って泣きついてきた時の男の子だ。
匂いを辿って一緒に探したんだ。)
此方に来て直ぐの頃である。
そして、もう一つの情景が思い浮かぶ。
昨日も過去に助けた女の子が交通事故に逢いそうなタイミングを助けたのだ。
昨日は電車だったが。
昨日の子は家が鬼によって壊され、鬼に家族を攫われた女の子であった。
一緒に探したのだ。
2人とも見た目が印象的だったのと、鼻を使って一緒に探したので覚えていた。
3日前にも、昔助けた女性が上から降ってくる鉄筋コンクリート5本の下に居たのを助けた。
(ーーー可笑しい。どう考えても不自然だ。
まず、自分の目の前でこんなにもたくさん事故が起こるのが不思議だ。
それに被害者は皆、昔関わったことのある人。
それも覚えている様な人だ。)
鬼を斬りすぎて、一々助けた人の顔など覚えていないことが多いA。
一度匂いを辿るなりしたのならば、印象に残って後から思い出せるのだが、それ以外はさっぱり覚えていない。
覚えていたらきりがないのだ。
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りんご - 面白いですね！更新頑張ってください！ (2020年4月22日 13時) (
レス) id: 4d3c7a1e9c (このIDを非表示/違反報告)
北窓(プロフ) - 桜さん» 教えて頂き有難うございます！頑張ります！ (2020年4月21日 23時) (レス) id: 5a0c901b45 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - コメントはログインとかしてなくてもできますよ。コメントした人の最後の方にあるレスってやつを押して、感想の所に文章を打ち込んで投稿を押したらできます。説明が分かりにくかったらすみません...更新頑張ってください！！！ (2020年4月21日 18時) (レス) id: ced64b0a1f (このIDを非表示/違反報告)
卵かけご飯4280 - 面白すぎます。もう神ですね。小説の至高の領域に入ってます。がんばってください (2020年4月21日 8時) (レス) id: 0b8a9b50ed (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - この作品めちゃめちゃ好きです！ハンターハンターっぽいとこもあってそこも個人的に好きです笑笑更新頑張ってください！！ (2020年4月18日 1時) (レス) id: 52068ce325 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：北窓 | 作成日時：2020年4月1日 21時
