35話 ページ36
「？
辛いなんて言う感情はとうに消えたよ。
私はやらなくてはいけないんだ。
彼らの想いを継がなければ皆に顔向け出来ない。
決して逃げていいものなどでは無い。
其れほど辛いものでは無い。
避ける事など赦されない。
目を繰り出されようが、
髪の毛を引き千切られようが、
全身業火で焼かれようが、
手足が千切れようが、
身体が抉られようが、
臓物が引き出されようが、
身体が真っ二つになろうが、
この身が朽ち果てようが叶えてみせるよ。
其れだけが私の生きる理由なのだよ。」
轟はAの中の静かな焔を見た。
静かだけれど激しく渦巻き、熱い。
光の無い目がドロリと此方を見つめることに恐怖を感じた。
よく知っている目だった。
何かを恨むような目。
底無し沼のようなどろどろとした暗い暗い目。
轟には一瞬、Aの全身が人の手で掴まれているように見えた。
思わず身構えると頭を撫でられる感覚。
「…？」
Aを見ると彼女は笑っていた。
「君は、弟属性だねぇ。
そのまま真っ直ぐ生きると良い。
幸せになりなさい。
…冷えてきたね。
中に入りなさい。風邪を引くといけない。
今日はゆっくり休むのだよ。
くまができている。
適度な休息も必要だよ。
お休みなさい。」
そう言ってAは寮の中に轟を入れ、戸を閉めた。
残された轟は頭に手をやる。
「…轟？どうしたんだ？」
キッチンに来た砂糖に声を掛けられる。
「…いや、…弟属性なのか？俺は。」
「？…まぁ、そんな感じあるな。」
「…そうか。」
(ーーー小さいけど、硬い、掌がゴツゴツした努力の手だった。)
Aが自分より大きな轟を撫でる為に、腕を上げた時に着物の裾から見えた腕を思い出す。
手首は血管と骨が浮き上がるほど細いのに、肘にかけては筋肉だけが付いている。
そこにあるのは無数の傷跡。
縫い痕もたくさんあったが、打撲数、切り傷、そして何よりも火傷の痕。
白い肌から浮かび上がっていた。
かつての父の稽古を思い出す。
(ーーー彼の人も同じ様な事やってたのか。)
そんなことを思いながら部屋に戻る。
いつか話を聞きたい、なんて思いながらも机に向かう。
腕も、声の調子も、光の無い目も、何もかも。
気になって仕方がない。
(ーーーあぁ、今日は集中出来そうにない。)
そう思いながら外を見た。
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ゆきな(プロフ) - はえ〜…好き (2020年3月19日 3時) (
レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
抹茶タピオカ2号(プロフ) - 待って泣く泣くてかもう泣いちゃたー！｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡とても面白かったです( ≧∀≦)ノ (2020年3月15日 3時) (レス) id: 48661705e7 (このIDを非表示/違反報告)
つむぎ - 随分遅れましたが続編おめでとうございまーす！！！！！これからも更新頑張ってください、応援してます！ (2020年3月14日 9時) (レス) id: 9d8d7fe98a (このIDを非表示/違反報告)
抹茶タピオカ2号(プロフ) - 帰れない！嘘、(゜゜;)とても面白かったです( ≧∀≦)ノ (2020年3月14日 0時) (レス) id: 48661705e7 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶タピオカ2号(プロフ) - 最初から最後まで、読みました！とても面白かったです( ≧∀≦)ノ後ランキング5位おめでとうございます！(* ´ ▽ ` *)ﾉ (2020年3月13日 10時) (レス) id: 48661705e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：北窓 | 作成日時：2020年3月12日 23時
