3話 ページ4
二人の『
戦況は悪かった。
折れた腕は思うように刀が触れず、腹は隊服ごと深く斬られ、髪の毛は斬られて長さがバラバラに。
其れでも負ける訳にはいかなかった。
(ーーー死ぬ訳にはいかないし、鬼になるなんて、以ての外。
思い出せ。今までやって来た事。言われた事。
深く呼吸しろ。
肺にもっと酸素を入れて。
心を燃やせ。
もっと、もっと出来るはずだ。
意識を落とせ。
深く、深く。
舞え。
只ひたすら。
誰よりも速く。
誰よりもしなやかに。
誰よりも華麗に。)
呼吸の音が変わり、彼女は舞うように刀を振るう。
彼女はかつて三ノ宮家の鬼才として恐れられていた。
誰よりも軽やかに舞いながら、剣を振るう。
速さとしなやかさ、細やかな技巧。
誰に習ったわけでもない、三ノ宮家代々続く舞とはまた別の、独自の舞方であった。
力が無くとも、戦術が苦手でも、此の純粋な剣の舞のみで敵の予測を覆しながら『
皆口を揃えて言う。
彼女は鬼才だ、と。
然し、此の舞にも欠点があるのだ。
長時間は舞続けられない。
手脚の筋肉が痺れ始め、血管という血管から血が流れ出る。
肺に負担がかかりすぎる為、吐血するし、呼吸するたびにゴロゴロと音が鳴る。
其れでもやめる訳にはいかなかった。
今やめてしまえば動けなくなるのだ。
今迄よりも遥かに長時間舞い続ける。
限界などゆうに超えている。
意識が落ちそうだ。
然し、舞は依然として美しく、速く、軽やかで。
逃すな。絶対に。
確実に頸を斬れ。
思い出せ。
あの日の絶望を。
燃える炎に、真っ赤な大地。
郷中から木霊する絶叫。
抉られた目、伸ばされた手。
手脚を折られ、頸をつられて身動きが取れない自分の目の前で殺された人々。
唯々笑っている
溢れ出る憎悪。
いつになっても消えない、消せない、消してはいけない殺意。
首だけになっても食らいつけ。
絶対に、確実に苦しめて殺せ。
努力も知らない鬼に落ちた屑に裁きを。
ーーー頸を斬った時2人はは泣いていた。
「ありがとう。私達の分も宜しくね。
先に死んでしまってごめんね。」
そう言って2人は散った。
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朝起きたら、早速コメント、評価くださってありがとうござます！
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ゆきな(プロフ) - はえ〜…好き (2020年3月19日 3時) (
レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
抹茶タピオカ2号(プロフ) - 待って泣く泣くてかもう泣いちゃたー！｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡とても面白かったです( ≧∀≦)ノ (2020年3月15日 3時) (レス) id: 48661705e7 (このIDを非表示/違反報告)
つむぎ - 随分遅れましたが続編おめでとうございまーす！！！！！これからも更新頑張ってください、応援してます！ (2020年3月14日 9時) (レス) id: 9d8d7fe98a (このIDを非表示/違反報告)
抹茶タピオカ2号(プロフ) - 帰れない！嘘、(゜゜;)とても面白かったです( ≧∀≦)ノ (2020年3月14日 0時) (レス) id: 48661705e7 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶タピオカ2号(プロフ) - 最初から最後まで、読みました！とても面白かったです( ≧∀≦)ノ後ランキング5位おめでとうございます！(* ´ ▽ ` *)ﾉ (2020年3月13日 10時) (レス) id: 48661705e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：北窓 | 作成日時：2020年3月12日 23時
