5話 ページ6
Side change
「ヒロ、さっきの会議集中していなかっただろ。」
会議室を出るヒロの背を引き止め、昼食へと誘う。
珍しく上の空で、資料をめくる事すらままならなかった幼馴染に違和感を覚える。
3ヶ月後にはとある組織へと潜入する予定なのに。
「ゼロ、ど、どうしよう！」
「うわ」
思わず口から出てしまうのも仕方がない。
古峯と言い、ヒロと言い、僕に泣きつくのはやめてほしい。
「つまり、順序を間違えた挙げ句、翌朝目覚めたらその女は居なかった、と。」
「どうすればいいと思う？」
何処かで似たような話を聞いた気がしたが、気のせいだろう。
第一、ヒロと古峯は別れて2年も経つし、そんなことがあればお互い包み隠さず僕に言う。
付き合う前も散々、二人の橋渡しにされたのだから。
「取られたものや勝手にスマホを触られた痕跡はなかったのか？」
「まさか。彼女はどの組織にも属してないし、本当に一般的な人だよ」
それならば防犯カメラで行動を分析して、確実に会いに行けばいいじゃないか。
そう思うが、それではいけないらしい。
いつから僕の幼馴染はロマンチストになったんだ。
「次会ったら確実に仕留めろ。」
「可愛い顔して物騒なこと言うなよ。」
「ヒロ、お前、自分の奥手さを忘れたのか？」
古峯と目が合えば耳まで赤くして、会話をした日の夜には僕に延々と電話をしてきた。
告白だっていつまで経ってもヒロがしないから、痺れを切らした古峯が泣きながらしたのは記憶に新しい。
「そうだな。」
,
「でも、次会ったらもう離さないって決めてたから。
逃してはあげられないかな。」
.
「…そういう格好良いことは僕じゃなくてその人に言え。」
そんなはにかみながら僕を見ないでくれ。
首後ろ赤くなっているのは隠せてないからな。
.
「あ、ヒロ。
お前、結婚したって話出まわってるぞ」
どこから情報を得たのか知らないが、古峯が『そういえば、噂で諸伏くんが結婚したって聞いたよ』と言っていたのを思い出した。
古峯と会ったことは言わないでおこう。
この指輪、抜けないんだよな、と苦笑いを浮かべている幼馴染。
好きな人と寝たら既婚者だった、と泣いた僕の友人。
どうか、僕の幼馴染が幸せになりますように。
そして、僕の友人が彼女を大切にしてくれる人に出会えますように。
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天然石 - 更新してほしいです (4月21日 14時) (
レス) @page30 id: 9e1c69280d (このIDを非表示/違反報告)
天然石 - 更新してほしいです (12月24日 12時) (レス) @page30 id: 9e1c69280d (このIDを非表示/違反報告)
春香(プロフ) - 更新待ってます！ (11月26日 11時) (レス) id: bb559b3d0f (このIDを非表示/違反報告)
天然石 - 続き書いてくださいずっと待ってるのですが (11月11日 16時) (レス) @page30 id: 9e1c69280d (このIDを非表示/違反報告)
SARA(プロフ) - 他作品から来ました。やっぱりすごく面白いです！このじれったい2人はどうなっていくんですか？！気になります！ (10月16日 22時) (レス) id: 000b3a28d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：北窓 | 作成日時：2022年5月21日 16時
