33話 ページ35
(ーー羽を伸ばす、ねぇ。)
夜、巡回しながら先程の相澤の言葉を思い出していた。
(ーーそんな時間があるのならば、一刻も早く帰って鬼を滅殺しなければ。)
彼の優しさに浸りたいとは思う。
年下の知り合いなど今まで煉獄の弟くらいしかいなかったのだ。
あと、胡蝶妹。
しかし、そんな事は許されないし、許さない。
約束したのだ。
必ず帰る、と。
(ーー早く帰らなければ。もうそろそろ師範も寂しがっているかしら。)
それなりに情報は集まっていた。
あの満月の夜の女の鬼は160年前の四ノ宮で間違いない。
おはぎが他の鴉と共に集めてくれた情報では女鬼は突然現れ、消えるらしい。
(ーーー矢張り帰るのにはあの女鬼に会うしかないか。)
Aの予想が正しければ、次にこちらの世界に来るのは3ヶ月後。
(ーーー其れ迄に更に強くならねば。)
ようやく一族の役割を一つ果たすことができる。
新月。暗い夜の下今宵も1人女が消えた。
風柱は三ノ宮家の事を調べていた。
(ーーー郷は全焼。ただ1人を残して他全員死亡。
死体の目は抉り取られ、髪は切られている。
男は手足が喰われ、女は暴漢の後、子供は暴力の痕。
珍しい髪と目って事は売られたのか。)
10年前の出来事だ。
一ノ宮家は緋、二ノ宮家は赫、三ノ宮家は紅、四ノ宮家は朱の色が家に割り振られていた。
各家の中に位があり、最上位の『彩』又は『色』に登り詰めた者のみが一〜四ノ宮の上に立つ本家の苗字を名乗ることが許される。
『彩』の位を手に入れる権利を持つのは20歳以下の女。
『色』の位を手に入れられるのは20歳以下の男。
各々1人づつのみ一族の中で選ばれる。
選ばれると言っても、争奪戦を行い、残った者が得る事が出来るらしい。
頭脳、戦術、武術、剣術、裁縫、料理、茶道、華道、舞、楽術。
様々な稽古を行い、全てを身に付けた者のみが争奪戦への参加権を持つ。
三ノ宮最期の『彩』の位を手に入れたのはAであり、四ノ宮の『彩』詰まり『朱彩』の者が鬼となり三ノ宮の郷を襲ったらしい。
怒った本家が『彩』に『朱彩』を討ち取れと命じた。
褒美は本家当主の次に権限を持つ位の一つ、『蝶』である。
『蝶』は『彩』の中から選ばれるらしい。
因みに同等の権限を持つもう一つの位は『虎』であり、『色』の中から選ばれるようだ。
(ーーー詰まり、あの女鬼はAの一族を殺した鬼か160年前裏切った鬼のどちらか。)
思ったよりも事態は悪かった。
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北窓(プロフ) - さやさん» そう言ってもらえると嬉しいです!読んで下さりありがとうございます! (2020年8月13日 10時) (レス) id: 5a0c901b45 (このIDを非表示/違反報告)
さや - え、やばめっちゃおもろい...戦闘シーンの書き方とか想像しやすくて好きです...楽しんで読ませていただいております...! (2020年8月7日 17時) (レス) id: 66bfdf92b1 (このIDを非表示/違反報告)
バカで変人な天才 - めっちゃ面白いです。更新がんばってください! (2020年3月12日 18時) (レス) id: 9900cccf42 (このIDを非表示/違反報告)
まんじゅうよもや - 瞬発的に高評価押してしまった (2020年3月12日 3時) (レス) id: eec7269bb9 (このIDを非表示/違反報告)
つむぎ - めっちゃ面白いですね!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます (*´˘`*) (2020年3月10日 23時) (レス) id: 9d8d7fe98a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:北窓 | 作成日時:2020年3月6日 16時