1話 ページ3
満月の夜。
月下に鼻歌を歌いながら歩く少女が1人。
なにやら機嫌が良さそうである。
それもそのはず、遠出の任務の帰りであり、約一週間ぶりに家に帰れるのだ。
家といっても師範の家だが。
「あぁ、お風呂に入りたい」
1人そうぼやく。
先程鬼に出くわし2体ほど斬って来たのだ。
体は血生臭い。
(ーーーそういえばさっきの鬼、血鬼術が何とか言ってたなぁ。先に頸斬っちゃったけど)
ふと背後から鬼の気配を感じる。
振り返ると満月の下に一体の鬼。
(ーーーなんで今日こんなに鬼に会うの!?)
鬼は群れないはずなのに今晩3体目。
(ーーー嗅いだことのない強そうな匂いがするなぁ。これは応援呼ぶべきだな。)
そう思い、鴉を飛ばす。
「あぁ、もう、私今日は帰りたいんだ。さっさと死んでくれない?」
ーーー風の呼吸 肆ノ型 昇上砂塵嵐
鬼は避けながら攻撃してくる。
鬼が殴りかかった地面は凹み、ひび割れている。
馬鹿力が、と悪態をつきながらも攻撃をかわしていく。
攻防を続けて半刻程度
自分は消耗しているのに相手は息のひとつも乱れていない。
ーーー風の呼吸 捌ノ型 初烈風斬り
手応えを感じる。頸が半分ほど斬れている。
(ーー消耗していないはずなのになぜ受けた!?)
鬼が笑った気がした。
体勢を整え、型を構える。
踏み出そうとした瞬間血を浴びた激痛が走り平衡感覚が狂った。
(ーーー先程斬った鬼の血鬼術か!)
咄嗟に地面に脚をつこうとするが地面が暗く穴が空いていることに気付く。
(ーーーこれがこの鬼の血鬼術?)
「A!!!」
師範が走ってくるのが見えた。
構えからして壱ノ型だろう。
「師範!必ず戻ります!約束です!」
そう叫ぶ。
最後の一振り
ーーー雷の呼吸 肆ノ型 遠雷
壱ノ型が目の前まで迫ってくる。
鬼が口角を上げて笑った。
腹が立つほど綺麗な赤い月夜だった。
ーーー暗転
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北窓(プロフ) - さやさん» そう言ってもらえると嬉しいです!読んで下さりありがとうございます! (2020年8月13日 10時) (レス) id: 5a0c901b45 (このIDを非表示/違反報告)
さや - え、やばめっちゃおもろい...戦闘シーンの書き方とか想像しやすくて好きです...楽しんで読ませていただいております...! (2020年8月7日 17時) (レス) id: 66bfdf92b1 (このIDを非表示/違反報告)
バカで変人な天才 - めっちゃ面白いです。更新がんばってください! (2020年3月12日 18時) (レス) id: 9900cccf42 (このIDを非表示/違反報告)
まんじゅうよもや - 瞬発的に高評価押してしまった (2020年3月12日 3時) (レス) id: eec7269bb9 (このIDを非表示/違反報告)
つむぎ - めっちゃ面白いですね!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます (*´˘`*) (2020年3月10日 23時) (レス) id: 9d8d7fe98a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:北窓 | 作成日時:2020年3月6日 16時