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3話 ページ5

「続いては【crown】のお2人です!! 」

司会者の声に続けて、観客の黄色い悲鳴。
それらを浴びるように、俺らはステージへと向かう。
照明が飛び交うステージ。
そこから見える景色、聞こえる歓声。
全てが心臓をばくばくさせ、俺を興奮させる。

「いやー、今飛ぶ鳥を落とす勢いのcrownですが今日は新曲を披露してくださるのですよね? 」

新曲、という単語に観客がざわめいたのが伝わってくる。
ふふん、驚け。新曲だぜ?

「そうですね、俺が作曲を担当してにろにーが詞を書いてくれました」
「なるほど。今回はダンスと歌、どっちに重点を置いたのですか? 」
「……ダンスです。詞とリンクする場所があるので、そこを見ていただければ」

マイクが俺の方を向いたので、ゆっくり答える。
何かぼろを出しそうで怖い。

「さすがにろにー、今日もカッコいいダンス期待していますね? 」
「ちょっと司会者さん、俺は!? 」
「とおるんも勿論、歌で魅せてくださると思いますから期待していますよ!! ではcrownで【僕らの世界征服】」

司会者の言葉で、俺らはダンスの位置へ。
ダンスの位置へと向かう途中、及川さんが俺に拳を向ける。
なんとなく言わんとすることを察し、俺も拳を合わせた。

「……頑張るよ」
「はい」

そう口数少なく声をかけ合い、後ろを向いて俯く。
少し小さめのイントロ。
そこに乗る及川さんの爽やかな声。

「ーーーーーー。」

囁くように、誘うように。
甘い誘惑を乗せた言葉は、観客の脳を蕩けさせる。
及川さんが息を短く吸う音。

「ーーーー。」

こてん、と首をかしげ呆れたような声色で。
……あぁ、本当にこの人の歌は凄い。
でもだからこそ、呑まれるわけにはいかない。
俺は息をゆっくり吸い込み、メロディーに言葉を乗せた。

「ーーーーーーー。」

自分で出来る精一杯のゲス声で。
及川さんと向き合う形になり、手を差し出した。

「ーーーー。」
「ーー。」
「ーーーー。」
「ーーーーーーーー。」

ここは地声で。
テンポよく、噛まないように台詞を歌う。
ここからは及川さんのターン。
サビを、爽やかで。けど力のこもった歌声がスタジオに響く。

「……凄」

観客の1人の声が耳に入る。
そうだろ、凄いだろ。
なんて自慢したくなったが、俺は俺のやるべきことをこなそう。
及川さんが歌い上げている間、俺は隣で踊る。
歌詞とリンクするように振り付けたダンスだ。

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コアラランド(プロフ) - 続き楽しみにしてます!! (2020年2月9日 13時) (レス) id: 5b9d17e3ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:にろにーに | 作成日時:2019年10月14日 13時

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