ダブピ組、アイドルするってよ。【HQ】【ダブピ組】

1話 ページ3

それから半年__


『最早社会現象となっているcrownのお2人ですが、2人のプロフィールは少ないんですね』

朝。
朝食を食べるため1階に降りていくと、及川さんがテレビをつけていた。
情報番組らしいが、俺らのことなんて紹介する意味あるのか?

「あ、にろくん起きた? ご飯出来てるよ」
「……ども。あんた、自分のニュース見て楽しい? 」

俺に声をかける及川さんだが、その目はテレビに釘付け。
からかいの意味も込めて、鼻で笑う。

「んー、楽しいっていうか。今俺らが何求められてて、どこが嫌われてるか見とかなきゃじゃん? 」
「……だからアンチスレとか見に行ってんすか? 俺ただのどMだと思ってたわ」

そう言うと、にろくん酷い!! と返ってくる。
俺は適当に返事をして、朝食を写真に納めた。


にろにー @crown_red

とおるんさんが朝御飯を作ってくれました。
……意外と美味しい ﾎﾞｿｯ


いくつかある内の、1つのアカでそう呟く。
これはcrown専用のアカで、フォロワーは多いがフォローしているのは及川さんのアカのみ。

「……ほら、にろくんのファン!! 何々……辛いときに彼作曲の歌を聞いて救われました……だって!! 」
「……あんた、うっせー。ご飯くらい静かに食べさせてくださいよ」
「にろくん、顔赤いよ? 」

にやにやとしたり顔の及川さん。
俺はそれを無視して、卵焼きに手を伸ばした。
ふ、と時計を見ると7時半。

「……やば、今日鍵当番だった。及川さんすみません、もう行かないと」
「あ、了解。鍵は閉めとけば良いんだよね? 」
「っすね。どうせ夜こっちでしょ? 」
「うん、そのつもり。あ、お弁当作っといた」
「……あざす」

茂庭さんたちが来るまでに鍵を開けておかないと。
何を言われるか。特にあの筋肉先輩。
俺は及川さんからお弁当を受け取り、学校までの道を急いだ。




@crown_red まさかの……同棲?
@crown_red ダンスよし+歌よし+家庭的←(New)
@crown_red 意外と(笑) 素直に美味しいって言えばいいのに




「……あれ、二口。さっきのTwitter? 」
「っ、茂庭さん。そうです」

部活終わり。
今朝のツイートのリプを確認しようと携帯を見ていると、後ろから茂庭さんがひょこと覗いた。
慌ててホームボタンを押し、Twitterを画面を消す。

「二口もやってたんだ。ね、名前は? 」
「普通に二口です。茂庭さんもやってるんですね」

二口、は学校用。
名前は見られていなかったようで、俺はほっと胸を撫で下ろした。

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