青と文化祭 ページ1
渡辺→3年生
A→2年生
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A
後輩の目黒くんから、「絶対一緒に回りたい」と言われてしまって、了承してしまった。
待ち合わせの時間になっても一向に現れない。
仕方ない、目黒くんのクラスに迎えに行くか…………
「れ〜ん、一緒に回ろ〜」
「蓮くん1人〜？うちらと回ろうよ〜」
「目黒〜たこ焼き行かね？」
なんだ、目黒くん、回るお友達沢山いるんじゃん。
目黒くんに対してそんな気持ちは一切無いのに、
「文化祭の2日目、絶対俺のために時間あけといて」
なんて言われたら、浮かれてしまった。
目黒くんに群がる可愛い女の子たちを横目に、一通りの少ない場所に行こう。
体育館裏の階段。
立ち入り禁止のおかげで生徒も来場者も誰一人として来ない。
さてと…………友達はみんな彼氏と回るって言ってたし、目黒くんがみんなの前で約束してきたもんだから、みんな誘ってくれなかったし私からも誘えないし…………
岩本が彼女と回る時間ないって言ってたし、クラス展示のシフト代わってあげようかな。
LINEをしようとスマホを開いた時だった。
『冷たっ』
水滴が滴るほどついたラムネを2本持った渡辺先輩が来た。
渡辺「目黒と回るんじゃなかったの？」
『目黒くん、女の子いっぱいいるみたいだから、私は用無しかな〜って、男の子に誘われるなんてそうそう無いから、ちょっと浮かれちゃいました、笑笑』
渡辺「浮かれてていいよ」
『え？』
渡辺「ほら、行くぞ、何食う？どこ行く？」
『いやいや、先輩いつもの人たちいるでしょ、』
渡辺「みんな好きな子と回ろうって話になったの、だからほら、行くぞ」
渡辺先輩がそっと手を差し出す。私もそこまで鈍感じゃ無いから、この手を握る事がなにを意味するのか……
渡辺「俺はお前と回りたい。あわよくば、お前が俺を好きになればいいのにって思ってる。
だから俺にチャンスちょうだい、今日絶対楽しませるから。」
有無を聞かずに渡辺先輩が手を掴んだ。
転がる2本のラムネが体育館裏のアスファルトを濡らしていく。
『お化け屋敷行こう、翔太くん』
＿＿＿＿＿＿もしかしたら、始まるかもしれない、彼との恋。
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作者名：金曜日の林檎飴 | 作成日時：2020年11月16日 19時
