男子系女子の日常。6

. ページ44

.

風間「会場に戻ると、丁度、嵐は紅白歌合戦出場真っ最中。

モニターを見ることなく、控え室へと向かう。

目の前にあるのはパソコンとタブレット。彼女の、嵐に対して最後にできる大仕事だ。」




A『潤くんに頼まれたんです。嵐にサプライズがしたいって。あの人も嵐だから、彼の思ってるサプライズより大きなことしないと嵐5人へのサプライズにならないので笑笑

総合演出(松本)に怒られるの承知で、やります！笑』




風間「声をかけられないほど真剣な姫宮。

サプライズ決行中、彼女は笑顔だった。


涙を流しながら、笑っていた。


5人との思い出を噛みしめるように、彼らの姿を目に焼きつけるように。

挨拶が始まると、彼女はほっとした表情で笑った。」



A「あ〜〜〜どうする〜？？笑笑

目擦ったら赤くなっちゃうよねぇ、このあとカウコンあるんだけど〜！！！笑笑」


スタッフ「泣くか笑うかどっちかにしなよ笑笑」

A「そう言うけどスタッフさんみんな頬濡れてますよ？笑笑」

スタッフ「だってこんな綺麗な景色見たら感動しちゃうでしょ」


A「ふふっ、、、私ももう少しだけ、頑張ろうかな。」




風間「公演終了後、声をかけるタイミングもなく、彼女はカウントダウンライブの出演準備。


大きなリハ室に1人ポツンと佇む。


嵐という大型船が無事にゴールできるよう、彼女は目印となり、小さな船を1人で操縦したようなもの。
大型船から聞こえる楽しそうな声を背に、たった1人走ってきた。

おそらくそれは、誰も知らない。本人も自覚していない。


今、ふと彼女の頭に過ぎったのは、『ポスト嵐』『次世代の稼ぎ頭』と期待される重圧。大丈夫と背中を支えてくれる仲間がいない不安だろうか。」



スタッフ「Aちゃん、出番まで30分あるから、ゆっくりしててね」



風間「スタッフの声に返事をせず、しゃがみこみ俯く姫宮。

誰もが、出演取り消しを考えた。そんな時だった。」



A「すみません、なんか食べるものあります？？お腹すいちゃって、笑笑」



スタッフ「10秒チャージしよっか、おいで！笑」




風間「いつだって彼女は強く、明るい。


出番までの間、彼女は一息ついて腹ごしらえ。

いつもより少し空元気にも思える。

我々はただ、見守ることしかできない。」

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す