#37「理由」 ページ37
Aside
.
しかし、奴の腕に拒まれて、やがて刺さった。
奴の腕からは血が吹き出ている。
私は無我夢中になってナイフを振った。
復讐という感情に思考を支配されていた。
奴の腕はやがて、落ちた。断面からは血が滝のように溢れていた。
「…っ、落ち着け、A」
「ゾム離してっ！！こいつは、わた、わたし、私がっ！！！！」
「落ち着け言うてるやろっ！！！！」
がしっ、と羽交い締めにされる。
流石に男性の力に逆らえる訳もなく、ゾムの腕の中で必死に足掻いていた。
「…自分が何しようとしてるか解っとる？こいつと同じ人殺しの犯罪者になろうとしてんねんで？」
「今更っ…私は、もう何十人もの命を…！！」
「私情で、や」
淡々とゾムは言葉を紡いだ。
「…俺らは国の為にやっとる。でもAは、違うやろ？」
「でもっ…！！！」
「こいつなんかに従ってるより、いいから俺に従えや」
「………は…？」
いきなりの発言。
少しだけ自分の力が抜けた。
「こんな奴に頭垂れるより、よっぽどええと思うけど？」
「…黙って聞いていればお前、王になんて口を聞いている」
「なんでこんな利己主義が王になれたんやろ…相当うちの無能よりガバいんやな。」
「おいっ！！！ふざけるな、あの科学者が改造した«ｵｯﾄﾞｱｲ»だぞ！？ここで“造った”んだ」
「…アンタ、Aを殺戮兵器かなんかと勘違いしてんのちゃう？」
「は？」
「AはAやで。拾ったとしても、何もそこまですることないやん。それとも、自軍の駒を増やしたかっただけなん？」
「…だから…」
「それとも、惚れてたりするん？」
「ゾム？！」
「………」
奴は喋らなかった。
「…嘘」
「…図星やな。残念やけど、アンタにあげるつもりはないで」
「はい？」
「…俺のにするから」
ぐっ、と距離が縮まる。
気がつけば、私はゾムに抱きしめられていた。
奴の目の前で。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 82人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アイク - ええやん( =＾ω＾) (2020年3月5日 10時) (
レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
*world*(プロフ) - wrwrdコミック買って久しぶりにありかどんの作品見たら色々神作量産してて嬉しさがやばい(語彙力)前垢ログイン出来なくなったか垢また作りやしたぞ (2018年2月18日 12時) (レス) id: ecbf161005 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
