#31「私に 壱」 ページ31
Aside ※会話文多めです
.
信じられない。
こんな私を置いておくなど。
同情されるくらいなら、死んだ方がマシだ。
駒としての役目を果たせなかった私は、迅速に消えるべきだ。
なのに。
何故、私の脚は動かない？
声が出ない？
きっと、何か見えないものを期待してしまっているのだろう。
そんな権利もない私が。
「…この前、早朝やったな。俺の事心配してくれてたやろ。だいぶ気が軽くなったんやで？アンタにとっては全然そんな気は無いと思ってるやろうけど、少なくとも俺の役にはたってたで。…戻ってきぃや、Aさん」
「…トントンさん」
私からして一番大人な彼の声が心に刺さった。
「訓練の時も俺より頑張ってたやんか。俺、アンタが弱い人には思えへんよ。少し感情っていうか、思い入れが強いだけで、俺らと何も変わらんで？そんな、戦場では使い捨ての駒かもしれんけど、今のアンタはそうやないやろ？なぁ、Aちゃん」
「…鬱さん」
いつもおちゃらけてる彼は、真剣だった。
「俺とか他にも居るやろうけど、あまり話せんかったよな。あの時期色々予定入っててん。でもさ、«ｵｯﾄﾞｱｲ»の襲撃以前は何も連絡なかったで？あん時俺おらんかったし、どんな状況だったかも知らないけど、それでもアンタが«ｵｯﾄﾞｱｲ»だなんて疑ったりしなかったよ。後から聞いてびっくりしたもん、俺。それにさ、過去とか今でも、こんなに周りに気にしてもらえるなんて、アンタ、人気者やん。悔しいけど。」
「…シャオロンさん」
あまり話したことは無くても、彼は信用してくれていた。
「俺もその時はシャオロンと任務こなしてたし、知らんけど、悪そうな人ではなかったよな。うん、確かにどうでもいいって思ってた時期あったけどさ、グルさんが身内に引き入れて…そんですぐ居なくなるとか、なんか、寂しいやん？」
「…コネシマさん」
声が大きな彼も、淡々と喋っていた。
「多分、こん中で一番…俺がアンタを気にかけてたと思う。部屋に荷物運ぶ時だって、訓練してた時だって、案内してた時だって…一番も疑わんかったよ？俺。というか、疑いたくなかってん。そりゃ、身内を疑いたくないっていうのは誰もがそうやと思うけど…俺は、何か他の理由で疑いたくなかってん。だから、アンタが敵だなんて思わんかった。容赦なく切りかかったけど、アンタだってわかってたらそんなことせんかった…よ？…これ、なんやろな。A」
「…ゾム」
いつも側に居てくれては彼は、誰よりも悲しんでいた。
ｰｰｰｰｰ
続きます。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 82人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アイク - ええやん( =＾ω＾) (2020年3月5日 10時) (
レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
*world*(プロフ) - wrwrdコミック買って久しぶりにありかどんの作品見たら色々神作量産してて嬉しさがやばい(語彙力)前垢ログイン出来なくなったか垢また作りやしたぞ (2018年2月18日 12時) (レス) id: ecbf161005 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
