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蘭が出会った秀さんは拳銃を所持していた為、彼こそが今世間を騒がせている通り魔かと思った。
だがその後の蘭への対応や仲間とのやりとりを見るからに、彼はその通り魔を追っている捜査員らしいという事が分かった。
秀さんに促されて表通りへ追い出されそうになる蘭だったが、彼に「友達を待っている」と伝える。すると秀さんは蘭にその場にいない私や新ちゃんに対して「消えろ!このエリアから今すぐに!」と強い口調で言い放った。その事を新ちゃんや私に伝えようと廃ビルに入る蘭。今朝から風邪気味だった為それがぶり返し始めていたが、それでも自分を奮い立たせながら新ちゃんや私を捜す
するとそこで本物の通り魔に出くわしてしまい、後から現れた新ちゃんが「逃げろ!」と蘭や私に向かって叫ぶ。
いつもなら得意の空手で犯人を取り押さえていただろうが、風邪気味だった為逃げる事もままならない状況だった。
その通り魔が拳銃を用意している際に彼が寄りかかっていた手すりが壊れ、彼はそのまま落下してしまう。だがその前に私と蘭が彼の服をとっさに掴んだ為、彼が下まで落ちる事はなかった。そこに新ちゃんも加わり、何とか通り魔を助ける事に成功する。
私達に助けてもらった通り魔は、「なぜオレを助けた?」と彼らに問う。すると私と新ちゃんは……
「人が人を殺す動機なんて、知ったこっちゃねーが…」
『人が人を助ける理由に…論理的な理由は存在しないんじゃない?』
……と彼に返した。
その言葉を聞き「自分のやった事は間違いではなかったんだ…」と改めて感じた蘭は、そのまま高熱を出して気を失う。 そんな彼らに対して尚も拳銃を向ける通り魔だったが、新ちゃんから発砲した時のリスクを聞かされ躊躇する。
そして新ちゃんは彼に「今度会った時は容赦せずに監獄へぶち込んでやる!」と言い残して、蘭を抱えながらこの場を去った。
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作者名:小日向そーご | 作成日時:2020年9月24日 20時