刀が三振 ページ4
あの後。豊前兄に本丸を案内してもらった。
にしても随分広いんだなぁ。
で……個室に居るんだけど。
長谷部「おい。少し良いか」
なんでアンタが居るんだよ。
長谷部は私の居る部屋にやって来て座った。
「なんの用？」
長谷部「…何故お前は今頃顕現した？今までどうしていた？俺が黒田に行ってからお前は…」
「何故って政府から実装されたから。今までは普通に刀として存在してたよ。……燃えたけどね」
長谷部「燃えたって……安土では大きな火事があったのか？」
「あぁ…知らないのか。私はあの本能寺の変で燃えたんだ」
そう……あの時、織田信長の懐刀の薬研藤四郎、森蘭丸の不動行光の他にもう一振あの場には居た。
それが濃姫様の刀であった私、【翡翠江】だ。
長谷部「馬鹿な……あの場には織田信長と森蘭丸、織田軍、主犯の明智軍しか居なかったはず。
そこに薬研と不動が居るのは分かるが、何故お前まで…」
「じゃあ教えてあげるよ…って言えたら良かったんだけど。
生憎、私はそれ以前の記憶が火事のせいで曖昧でね。何故あの場に居たのか思い出せないんだ。
ただ言えるのは私はあの時あの場に居て、濃姫様に振るわれ、燃えたって事だけ」
長谷部「そう…だったのか…」
「正直さ、私は長谷部が黒田に渡されて良かったと思うよ。渡されたせいで織田信長に不満があるようだけど……
長谷部が本能寺の変で燃えなくて良かったと思うから」
長谷部「……そうか。翡翠、お前がこの本丸に来てくれたこと嬉しく思う。これからよろしく頼む」
「こちらこそ、よろしく」
そう言って私達は握手を交わした。
燭台切がみんなを呼ぶ声が聞こえる。
待ちに待ったご飯だ。
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作者名：coco | 作成日時：2021年4月12日 17時
