暑さと熱さ ページ6
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You Side
あれから季節は夏になり、冷房装置が無い私の学校は
工業扇風機で暑さを誤魔化す
そして、お昼は風が気持ちいい屋上で一人でお弁当を食べる
屋上は立ち入り禁止だけど、鍵も閉まってないし、みんなバレなければいいや程度の気持ちで出入りは当たり前
屋上に続く階段を駆け上がり、重い扉を開くと
目に入るのは、遠くからでもわかる、瑞稀先輩らしき姿だけ
横になっているから、忍び足で行けばバレないだろう
そう言い聞かせて、久しぶりに見る彼の姿に動揺しつつも
足音ひとつ立てずに影に隠れようとした
もう少しで瑞稀先輩からは死角になる場所に行ける、そう思った時
「 ねえ! 」
聞きたくない、聞こえないフリ、聞かないフリ
近づいてくる足音、この屋上には私以外に一人しか居ない
腕を掴まれ、反射的に声の主の方を向く
「 聞こえてんのに、無視すんなよ 」
「 み、ずき、せんぱ」
掴まれてる腕から、みるみると全身が熱くなった
必死に出した彼の名前も華麗に遮られ
「 なんでいきなり来なくなったの、毎日毎日塾だの用事だの、そんな嘘で騙せると思う?なにも言わないなんて人としてどうかと思うけど。それに、朝の電車だって違う車両に乗っていくし、廊下ですれ違えば慌てて逃げてくし、ほんと、なんなの 」
早口になる瑞稀先輩に、唖然とする
「 あ、いや、えっと、」
我に返ったようで、大きな目がわかりやすいくらいに泳ぎだす
「 なんでそんなに、怒るんですか 」
「 別に、怒ってない 」
「 ………いきなり行かなくなったり、嘘ついたのは謝ります。でも、私は軽音部の部員じゃないし、その、瑞稀先輩の、か、彼女でも、ないですっ… 」
自分で言ったにも関わらず、傷つく自分が居た
「 っじゃあ……俺の彼女になれよ 」
「 ………はっ? 」
「 お前の彼氏になれば、お前に会えるんだろ? 」
「 いや、あの、」
「 ……正直、お前のこと、苦手だった。悪い奴では無いってわかってたけど、軽音部を壊されそうで、怖かった 」
瑞稀先輩は、ぽつりぽつりと話し始めた
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ふー(プロフ) - 久しぶりの通知にウキウキしたらイトさんがリクエストを聞いて下さると!こんな嬉しいことないです!!私は那須担なので書いて頂けたら那須くんも是非読みたいですが、個人的には優斗くんが読みたい!……結果、決めきれなかったです(笑)新しい作品も楽しみにしてます! (2019年1月9日 23時) (レス) id: 027a286ac5 (このIDを非表示/違反報告)
イト(プロフ) - れいにーさん» コメント有難うございます。作ちゃんいいですよね、、姿を見るとつい見蕩れてしまいます、、(笑)ぜひ、参考にさせてください。 (2018年12月30日 1時) (レス) id: adaa3b2d42 (このIDを非表示/違反報告)
れいにー(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます。久しぶりの通知で、リクエストができるとなったら、私が出しゃばらせていただきます(笑)私自身は瑞稀担なのですが、どうしようもなく作ちゃんが好きなので、作ちゃんをメインに据えたお話が読んでみたいです…! (2018年12月29日 23時) (レス) id: 8a47dbb0fa (このIDを非表示/違反報告)
イト(プロフ) - hn87landさん» 先方様の心の何処かに留まることが出来たのならば私も嬉しく思います。一人でも読みたいという声があるのならばそれに応える迄です。少し時間がかかってしまうのを承知の上でお待ち頂けると光栄です。こちらこそご愛読頂き有難う御座いました。 (2018年8月10日 2時) (レス) id: adaa3b2d42 (このIDを非表示/違反報告)
hn87land(プロフ) - 初めてこんなに苦しく切ない気持ちになりました。烏滸がましいのは承知の上ですが、ぜひ最期のおはなしの瑞稀くんサイドも見たいです。書く気がなかったのなら無理強いはしません。ぜひご検討お願い致します。素晴らしい作品をありがとうございました。 (2018年8月9日 22時) (レス) id: 8a2aac413e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イト | 作成日時:2018年4月8日 1時