素直になりなよアンチくん(鬼滅の刃) (ページ11)

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アンチくん8 ページ11

朝

「沢ううううううううううううううッ！！！」

騒がしい一鉄の怒号が響いたのは朝のホームルーム
終了後のこと。突然の絶叫に騒然とする教室。

いつもなら縮こまってしまう一鉄が人目も気にせず
叫び散らす様にはさすがに驚いた。

「な、なに？どうした一鉄？」

半ば困惑しながら一鉄の話を聞く体勢に入る。
一鉄は一旦深く深呼吸をしてから私の腕を掴み、そのまま教室を出て行く。

手を離してもらおうと一鉄の手をペムペム叩くが、
離す気は無いらしく私の腕を強く掴んだままズンズンと廊下を歩いていく。

暫く色々な所を歩いて辿り着いたのは、私達の第二の溜まり場である校舎裏の旧校舎だった。

そこで私は気付いた。
ここは私達の溜まり場ということだけではなく、私達の重要な"会議室"でもあるのだ。

つまり一鉄の今日の行動は、"焦り"の行動。

私の予想は的中し、一鉄は適当な教室に入ると、既に用意されている椅子へと座った。
一鉄に倣って私も椅子に座る。

二人で向かい合い、一鉄がゲンドウポーズをとったことにより議会は始まった。

「第一シーズンが終わった。ということで、

俺は本当にアンチになる」

「……決意は固いんだね。ふーん、それで、

何があった？？？」

一鉄は目を瞑り、口を開く。

「冨岡さんは、冨岡さんはぁ………

瞬間移動なんてしねぇんだよッ！！」

「あー、はい。第一シーズン最終話くらいだっけ？
蝶屋敷のとこでしょ？別にしてもいいんじゃないかな冨岡さん柱だし。それに宇髄さんだって瞬間移動…」

「天元様は忍だろうがッ！！履き違えるんじゃねぇ！つーか必要以上に強そうに見せなくてもいいんだよ、戦闘シーンで強く見せるからかっこいいんだよッ！！なんだよ、常日頃からあんな無駄な動きを誰しもやっているとでも！？じゃあ柱にはどうやって会えばいいんだよ不可能だろうがコラァッ！！！」

「はいはい、そんだけ？じゃあ先に教室戻るね。授業始まっちゃうからさ。それに私はコミケの予定を
姐ちゃんと立てなきゃいけないから」

「全力腐女子がッ！！！」

「あ"？腐女子舐めてんの？アンタとモブの薄い本でも描いてやろうか？」

「すんませんっしたッ！！！」

ていうか腐の付く作品以外もあるっつの、などと悪態をつきながら椅子から立ち上がる。

教室を出て扉を閉め、上を向いた。

「ふぅー……」

安家一鉄、ここから本気になるそうです。

……本当ににアンチになれんのかな。