呪術師なんで魔法は使えません 2

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何を言うかと思えばそんな挑発的な言葉だった。
…ちょっと待て。


『…ごめん、１回｢しゃけ｣って言ってもらっていい？』
｢は？｣



立場が逆転した。
だって、なんか、声の感じが似てる気がしたからさ、棘と。


｢…雑魚が指図するなよ。｣
｢…意味がわからなかったのか？雑魚が僕の邪魔をするなって言ってるんだ。｣


さっきから雑魚雑魚って…。
でもやっぱ勘違いだったかも、少しこいつの方が低いし。

棘はこんなこと言わない！
懐かしい様な声が聞こえて、少し嬉しかったんだけど…残念だ。

…ていうか、知らない人に雑魚って決めつけられるの腹立たしいんですけど。
これは…喧嘩売られたってことでいいのかな？


『人の事雑魚って決めつけんのは良くないよ。』
｢…雑魚はいらないんだよ。｣


男は懐から刃物を取り出し、刃を見せた。
思わず後ろに飛び退け、身構える。
まさかここで戦う気？
売られた喧嘩は買うけど…

いや待て。
ここは魔法の世界…
刃物なんて使う魔法使いが居るのか？一体何に、

すると男は自分の左肩に刃物を突き刺した。


『え、何して…ぃｯ！！』


私の左肩に激痛が走り、思わず顔を歪めた。
肩を抑えれば、生暖かくドロっとした感触が手に伝った。

は、血？
いつ攻撃を食らった？
ていうか、あいつ自分の左肩を刺してたけど…血すら流れてない。
なるほど…そういう魔法なのか？
自らに与えられたダメージを対象者にそのままひっくり返す…的な？


｢ほら。やっぱり雑魚じゃないか。｣
『悪いけど私…あんたに負ける気しないから。』


まだ推測だけど、ダメージが肉体に限られるなら、精神ダメージは効くはずだ。
あの刃物は厄介だけど、あれ程度で死ぬ様なヤワでは無い。
その前に仕留める。


｢雑魚が吠えるなんて…面白いね、君。｣
『光栄だなぁ。でも、雑魚なんかで終わらせないからね。』


次に刺される前に、何か足止めで…よし、あれにしよう。


『幻想呪法 ＿＿』


真っ向に進んでいくそれに男が怯んだ。
その隙に刃物を蹴飛ばす。
自分の右手に少し痛みが走るも、これくらいどうって事ない。
これで刺される心配は無くなったな。

男は目をぱちくりしたまま、動かなくなった。
元から開かれていた瞳孔がさらに大きく開かれる。



『あれ…もしかして魚、苦手だった？』

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