本意 ページ35
「はは…眠くなってきたわ」
牛「まだ昼前だぞ……って言うべきなんだろうけど、俺も眠気が凄いわ」
「疲れたって訳じゃないけど、なんとなく解放された感じがしたよ」
ついさっき、自分の敬愛する人が目を覚ました。
牛「…病室に戻るか。キヨが来てんだろ？」
「ぽいね。きっと喜ぶよ、みんな」
何事も無かったみたいに生意気な笑みを浮かべてこっちを見る。
牛「みんなっつっても知ってんのお前らだけだろ？」
「そうねぇ。自分達だけ」
牛「なら大事にするまでもないな。身内の小さな出来事として片をつけるべきだな」
「ああ…そうやね、本人がそう言うならそうするべきよ」
貴方がなんでそんなに軽やかな表情でいられるのかは全く想像もつかない。
牛「イベントもなぁ〜…今のままじゃ間に合わないよな」
「いいってそんな事は笑。アンタの命が優先」
いっつも自分の事より人の事。
牛「そろそろだろ？予定日」
きっとそれは、いい癖じゃない。
「うるさいうるさい。お前の体調第一」
牛「大人がそんな都合のいい条件飲めるかっての」
大人なんて、どうだっていい。
「大人である必要なんてないだろ」
牛「はぁ〜？何言ってんだこいつ。俺は歴とした大人何ですけども〜」
「うるさいな子供みたいな事言いやがって」
命の瀬戸際に立つ状況で大人だの子供だの関係ないだろ。
牛「……大人でも我儘言える社会な訳ないでしょうが」
「うるさいよ牛沢君。今この時においては力技で口を縫い合わせてやれるんだかんな」
牛「やりかねないの止めろ」
もっと、大事にして欲しい。
「アンタ、なんで他人事みたいに自分の心配はしない？」
今くらいは、貴方が最優先で良い。
「今日は牛沢デーにしようぜ。記憶がモドリッチしたんだからさ」
牛「何言ってんだよ。戻してくれたのはお前だろ」
馬鹿正直に自分を見つめて、言ってくる。
真っ直ぐだなぁ、目が。
嘘無しでそんな事言うんじゃないよ牛沢さん。
「戻って来てくれたのはお前だろ」
牛「屁理屈こねてもお前のお陰だから。それでいい」
「…ちょっと聞いていい？」
牛「なによ」
記憶が瞬時に戻るという感覚。
「記憶が戻った時ってさ…」
およそ十年の記憶がだ。
「頭がかなり疲れたと思うんだけども…」
常人に、果たして耐えられるのだろうか？
「精神状態とか、体の状態は、絶対大丈夫じゃないよね？普通長〜い記憶がいきなり戻ったらSAN値ゴリゴリ減ると思うんだけど」
牛「そうかもな」
→次ページ
ラリアット仲裁人 uszw.side→←お孵り No.side
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 185人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Yとさん。 | 作成日時：2022年11月14日 22時
