可愛いの定義が uszw.side ページ27
牛「うぉーいひなっちー」
部屋の扉を開けつつひなっちに呼びかける。
「ひなっちひなっちたん♪」
変な掛け声と共に部屋に入ってくるA。
牛「お前にビビるぞ奇行種」
「今日イチの悪口なそれ」
ひなっちの事となるとホントにキレるよなコイツ。
「牛沢なんてほっといてワシのひなっちを愛でるのだよムフフ…」
牛「追い出すぞ」
「我のひなっちから引き剥がそうと言うのかね？！」
牛「ひなっちは俺のだ」
「みんなのひなっちだ！」
牛「違うわ」
馬鹿めあいつは俺のものだ。
モフモフの毛並みが可愛くて今はゲージの中で毛繕いしている。
天使だなぁ。
「…なにニタニタ笑ってんだ気持ち悪ぃ」
牛「ひなっちに向けた笑顔だ勘違いするな」
「ひなたが可哀想になってくるわそんな笑顔されたら」
牛「ご主人の笑顔より嬉しいご褒美なんてねえだろ」
「ごはん」
牛「あったわ」
ごはんか…そうだな。
……ひなっちは俺の笑顔よりごはんかぁ…。
牛「そんな事ないよなぁ……？ひなたぁ」
Aがひなっちのゲージの扉を開けて抱き上げる。
その姿を少しムッとした顔で俺は見つめる。
「…なんだよ、ひなっちは喜んでるぞ」
牛「俺の方がひなっちのこと好きだし…」
「…………あー、そうだな。ひなっちのこと誰よりも好きなのはお前だったな」
牛「……おん」
「…そんな寂しそうな顔すんなって。ひなっちのこと抱いてやれよ」
牛「…うん」
Aからひなたが俺の腕へ渡る。
モフモフだ。
こんなにも小さくて可愛い生命を俺は…。
「ふはっ、可愛い」
牛「かわいい…のか」
「うん、可愛い」
牛「ひなっちモフモフでかわいい…」
かわいいなぁ、ひなた。
もふもふの毛並みが暖かくて、小さい手で懸命に俺の手に登ってる。
言葉に出来ない可愛さがある。
牛「かわいぃ…ってさ、定義しにくいよな」
「哲学？」
牛「ある意味そう」
哲学ってのは答えのない問いだ。
宇宙の存在意義だとか、人の考えの矛盾だとか。
そのどれもこれもが解明できないものばかり。
でも、やっぱりさ。
牛「命の尊さとか、かわいさってのは、言葉にできない」
「……うん」
牛「俺とかネットで活動してる人は偶に尊いっていわれるだろ？」
「…そうね」
でも、尊さってのは今現代でよく使われる意味じゃないとこもあると思う。
牛「尊さってさ、よくわかんねぇよな」
「だね…」
でも、今目の前に在る存在は…
ひたすらにただ＿＿＿。
牛「ただお前らが尊く、儚いんだよ。」
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作者名：Yとさん。 | 作成日時：2022年11月14日 22時
