大きな手 uszw.side ページ24
俺の誕生日を祝いに来た…のはいいが、
牛「えぇ…お前ら腹いっぱいんなったからって人ん家で寝転がるんじゃねえよ」
「もう…動けねえぜ」
レ「俺なんか吐きそう」
牛「シンプルに殴るぞ」
人ん家で吐くな。
ガ「俺トイレ借りるね」
牛「うぃー」
キ「水ー…」
「体起こすのも無理…食い過ぎた」
牛「ほら、起きろ」
右手を差し出してAを起こす。
レ「俺もー」
キ「俺にも手を貸してください」
牛「甘やかさねえぞ」
俺の誕生日だぞコラ。
「あ、そういやひなっちの具合どう？」
牛「ああ、この前よりは随分マシだよ」
以前、俺が飼ってるチンチラのひなたが体調を悪くした。
風邪みたいなもので、一時的なものではあったが本気で心配した。
「…大丈夫？顔色悪くねぇか？」
牛「…あ、いや別に。ちょっと考え事してただけ」
レ「…あん時うっしーすげぇ心配してたもんな」
キ「discordわざわざうっしーから繋ぐ事あんま無いよね」
……あの日、俺はあまりにも落ち着かなくて動物病院に行ったあとでも感情とかがぐちゃぐちゃだった。
で、その夜実況を撮る予定もなかったものの俺は五人のdiscordにインしてその状況を伝えた。
そしたら、四人とも急いで繋いでくれて話を聞いてくれた。
「…あの時の慌てよう、今じゃ考えられないくらいだったからね」
キ「ジェイソンに追われてる時より慌ててたよね笑」
牛「だろうな…俺も記憶にだいぶ残ってる」
レ「…トラウマだよね、きっと」
牛「……こむぎ、か」
俺は…ひなたを家族に迎える前に、デグーのこむぎって子を飼ってた。
その子は…2019年の年始に亡くなった。
夜の、病院も開いてない時に異変に気づいて、医者に見てもらうことも出来ず、ただただ看取ることしかできなかった。
あの時間は、今思い出すだけでも辛い。
所謂、トラウマだ。
キ「…思い出すだけでもしんどいと思うけど、キツくない？」
牛「ありがと、大丈夫」
「＿＿＿もう、大丈夫？」
そのAの声は、なぜかあまりにも暖かかった。
まるで、俺の背負う辛いものを一つ一つ下ろしてくれる様な。
そんな、そんな、さ
＿＿＿＿＿あったかい目で、見ないで。
牛「……っう、」
俺の目からは、瞼では抑えきれない大粒の雫がぽろぽろと溢れた。
「大丈夫なんて、簡単に…言うなよな」
俺の蹲った背中をAは大きな手で包み込んでくれた。
その手の温もりは絶対、
＿＿＿＿＿何があっても忘れない。
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作者名：Yとさん。 | 作成日時：2022年11月14日 22時
